STory 6 (ページ1)

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君なりのヒーローにページ1

高地side

大学病院のリハ室。
端の方に置かれた椅子に座って、頑張り屋さんを見守る。

受傷後1年が経った今の目標は小学校への復学。ジェシーの場合、不幸中の幸いって言うのかな。知的な後遺症が残らなかったから、これまで通っていた小学校に戻る予定。

それまでに自分の足で歩けるようになりたいって、ここ最近は今まで以上にやる気マンマン。

それと。学校に行くためにってのもあるけど、1番の理由は大好きなお姉ちゃんを守りたいからなんだろう。苦しいときすぐにそばに行きたいって泣くくらいだから。

二宮「おーし、じゃあ次はあそこまで〜。これ終わったら一回休憩な？」

二宮くんの言葉の後に必ず聞こえる、はぁーい！って元気な声。

補助具をつけた足を必死に動かして歩くジェシーは、大好きなアニメのTシャツをびっしょり濡らしていた。

いち、に…いち、に…

わっ…！

床に貼ってあるジョージのシールまであと少し。

踏み出そうとした左足はピクリともせず、小さな身体はポスンと二宮くんの腕の中に収まった。

あっぶねぇ…
思わず出てしまった一歩を誤魔化すように、座り直した。

二宮「ん、疲れたな…。高地とお茶飲んで休憩〜。マッサージして今日は終わりにしよっか。」

ジェ「やだ！！まだやる！！休憩したらできるもん！…ゆーご早くお茶！」

二宮くんに抱えられて移動してきたジェシーに持ってきていた水筒を渡せば、ふー！って鼻息を荒くしてお茶を飲む。

「ニノ先生おしまいって言ってたよ？マッサージにしようって。」

ジェ「おしまいじゃない！できる！」

ポタポタと襟足から落ちる汗が彼の頑張りを表しているのに、納得いかない様子で文句を言う。

こりゃ何言っても聞かない顔…。

「ね〜、今日Aが早く帰ってくるから、そろそろ終わりにしな？夜ご飯は北斗とカレー作るって言ってたじゃーん。」

ジェ「やだ！ジョージのところまで歩いてないもん！」

「でも、もうジェシーの足がキツいよ〜って言ってるよ？」

ジェ「んんー、いってない！！足はおしゃべりしないもん！」

ゆーごのばか！

俺の手を払った、ぺしんって音に、一瞬空気が凍る。

ここでAなら拗ねて終わりなんだけど、泣きそうな顔ですぐに、ごめんなさいって謝るのは素直なジェシーのかわいいところ。

「まだやりたかったもんな…。よしよし。泣かなくても良いでしょ〜？」

ぐしぐしと目を擦る姿は、悔しさで溢れていた。

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