3 ページ43
京本「あいつら声デカすぎ…(苦笑)朝から喘息出たって聞いたよ〜もう平気？」
「ん〜喘息は今のところ平気〜。でもずっと苦しい…かな。早く春終われー！って感じ。」
京本「花粉症の人にしかわからない苦しみだね〜」
家に入って、とりあえず洗濯機を動かして。
リビングのソファーに座って、たいちゃんが淹れてくれたおすすめのハーブティーを飲みながらゆっくりおしゃべり。
…たいちゃんは？へいき？
目の前にある、真っ白な顔に目立つ隈を見て、1番聞きたい言葉をグッと飲み込む。
たぶん、私には聞かれたくないと思うから。
「いい香りなんだろうけど、全然わかんないのが悔しいー！」
なーんて、ふざけた会話で盛り上げて。
テーブルの上に置かれた、私のじゃない吸入器にも気づかないふりをした。
京本「ごめんｯｺﾎ…ちょっと部屋で寝てくるね。」
「うん、おやすみ…たいちゃん！…これ。」
京本「っ！…ありがとね、A。」
私とお揃いの吸入器。たいちゃんを助けてあげてね…。
.
高地side
昼休み、Aと大我の様子を見に家に帰れば、どこか不安そうな顔で包丁持ってキッチンに立つAがいた。
京本の様子見てくるって2階にあがった北斗のことを目で追うもんだから、なんとなくこいつが何考えてんのか分かった…。
「お嬢さーん？とりあえず怪我する前に、それ置いてこっちおいで。」
はいって両手を広げてやると、Aにしては珍しく素直に飛び込んできた。
…たいちゃん、きつそうなのにっ
Aじゃ、Aじゃだめだった…ｹﾞﾎｯｹﾞﾎ
グスグス泣きながら話す内容は、概ね予想通り。
Aの前で強がりたい大我の気持ちも、大我の力になりたいAの気持ちも。お互いを思い合ってるだけなのに…お互いが苦しむ結末にしかならないことが、今はもどかしい。
泣きすぎて、いよいよ心配な息づかいになってきたAを抱えてソファーに座らせる。
ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ…ﾋｭｰ…ゆう、くんっ…
ネブライザーに薬剤をセットしていると、小さい頃の呼び名で俺の名前を呟くA。
「苦しいね…泣かないの。ゆうくんと一緒にこれすぅはぁしような〜。ほくちゃんもすぐ来るからね…。」
ネブライザーのマスクを固定して、俺の胸に頭をもたれさせるように抱きしめる。
パチっと指にはめた機械が示す数値はかなり低くて、苦しいはずなのに。
大我の名前を呼ぶ声が、切ないくらいに胸に響いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 596人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きなり(プロフ) - こころさん» 嬉しいコメントありがとうございます…！！こうして言葉で伝えてくださると、とても励みになります＾＾楽しんでいただけるように、頑張ります。今後もよろしくお願いします！ (2021年9月14日 22時) (
レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
こころ - いつも楽しく読ませてもらっています！毎日更新されるのが楽しみです。これからも更新頑張ってください！ (2021年9月13日 21時) (レス) id: b96a3cc535 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きなり | 作成日時：2021年8月28日 23時
