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静かに泣き始めたなまえの頭を撫でながら、恭平がぽつぽつと話した内容は、Aが事故後初めて触れた"外の世界"だった。
恭平「3限が終わって教室移動してたら金髪の1年が来てたって噂になっとって…。事故ったらしいとか、親がしんだとか…弟は障害者になった、とか。…っ。」
恭平「…かわ、かわいそうって！あいつらなんも知らんのにっ！あいつらっ！なんも…Aの気持ち知らんのに、Aは生きててよかったなって！！！なんっでやねん…なんでそんな笑えんねん…」
先生、たすけてや…ってわんわん泣く恭平を見て、俺はただただ2人を抱きしめることしかできなかった。
どんなに味方が周りを囲んでいても、外の世界は好奇と同情で溢れている。
ましてや多感な時期の高校生。あれだけ大きな事故だから、ネットでもニュースになっていて、ほとんどの生徒が知っているんだろう。
あと1ヶ月で復学する予定のA。
またしても、大きな壁が立ちはだかった瞬間だった。
.
誰かが呼んでる気がして、重い目を開ける。
なまえ「あ！A起きた〜！ひさしぶり！」
ぎゅーって抱きしめてくれたなまえから香る甘い匂いが、私を安心させた。
恭平「佐藤〜！大ちゃんが弁当買ってきてくれてんで？奢りやぞ！こっちきて食べようや〜！」
ｼｬｰっと開けられたカーテンの向こうには、人数分のお弁当とお茶と大ちゃんの笑顔。
「やった〜！食べる食べる！」
グッと身体に力を入れて、輪の中に入る。
あんまり食べられる自信はなかったけど、これもーらい！ってなまえがおかず食べたり、まだ食べたりひん！って恭平がご飯たべてくれたり。
今まで気が付かなかったけど、こうして自然と助けてくれてたんだな〜ってどこか客観的に見ちゃう自分がいた。
なまえ「また学校来る時は連絡してね！春休みいっぱいあそぼ〜！」
「うん…！恭平とケンカしないようにね〜(笑)」
恭平「佐藤…それ言うたらアカンよ？まっじで怖いんやからな！？」
あははっ！
授業に戻る2人と大ちゃんを見送ったところで、保健室に樹くんが来た。
田中「迎えに来ちゃった！」
照「かわいくねーわ！(笑)」ﾊﾞｼｯ！
照「じゃ、またな。どんな格好でもいいから、気が向いたらここに来い。連絡くれたら下駄箱まで迎えに行くし？」
「うん、ありがとひーくん。またね。」
樹くんと2人で歩く廊下は信じられないくらい静かだった。
それでも、差し伸ばされた手を握ることは出来なかった。
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きなり(プロフ) - こころさん» 嬉しいコメントありがとうございます…！！こうして言葉で伝えてくださると、とても励みになります＾＾楽しんでいただけるように、頑張ります。今後もよろしくお願いします！ (2021年9月14日 22時) (
レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
こころ - いつも楽しく読ませてもらっています！毎日更新されるのが楽しみです。これからも更新頑張ってください！ (2021年9月13日 21時) (レス) id: b96a3cc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなり | 作成日時：2021年8月28日 23時
