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北斗「ほんと?本当についていかなくて大丈夫なのね…?」

「うん、もう大丈夫だから。電車はこの間も乗ったし、学校行けばひーくんいるから。」


お仕事はもう始まってるはずなのに、そばにいてくれたほくちゃんの優しい提案。ついてきてって言いたい気持ちをぐっと堪えて笑う。


学校ついたらメールの約束をして、ほくちゃんはクリニックへ。




すでに9時半を過ぎていて、今から急いでも約束の時間には間に合わない…。

遅れるってメッセージを送って、私も早足で家を出た。





.
照side

保健室でのんびり過ごす朝。
Aの好きなお菓子を用意してるあたり、俺もいよいよだなって思うけど、目の前のソファーでうたた寝する大野先生も、いよいよだな。(笑)



そんな時に入った北斗からのメッセージ。

大野先生にも見せると、苦笑いを浮かべて保健室を出て行った。


俺は、寒空の下ひとりでやってくるAを思って、暖房の温度を上げることしか出来なかった。




.


高校の最寄り駅について、ふぅっと息を吐く。
ほくちゃんが選んでくれたセーターの袖をグッと伸ばして身も心も強くバリアを貼る。



授業中の学校はしーんとしていて、なんだか自分が悪いことをしている気分。

久しぶりの登校だけど、下駄箱はそのままになっていて、私の上履きも事故の日のまま、そのまま。


授業中の廊下を私服で歩く人がいたら、私でも見るもんな…。
ビシビシ感じる視線と、コソコソ聞こえる話し声。



"あれって1年の子?"

"休んでんのかな…?"

"なんか事故ったらしいよ〜"

"家族が事故ったんじゃなかったっけ?"

"弟だけ助かったらしいね"

"かわいそー"



なんで保健室は廊下の先にあるんだろう。
歩いても歩いても、聞きたくないのにきこえてくる。
何も知らないくせに、何も、なにも…



ようやくたどり着いた保健室の扉を開ける頃には、必死に作ったバリアがぼろぼろに壊れていた。


照「おはよう、A。」

大野「おう、ここ座れ。」


2人の優しい笑顔を見た瞬間に、がらがらと崩壊したバリアは涙となってこぼれ落ちた。



頑張ったな、よく来たなって撫でてくれるひーくん。
ほら、これ飲めってココアをくれる大ちゃん。



それでもさっきの冷たい視線を忘れられなくて。同情の言葉を忘れられなくて。



今までどれだけの優しさに守られていたのかを。
私にとっては人生を変える出来事でも、他人にとっては所詮他人事なんだって。
改めて、突きつけられた気がした。

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きなり(プロフ) - こころさん» 嬉しいコメントありがとうございます…!!こうして言葉で伝えてくださると、とても励みになります^^楽しんでいただけるように、頑張ります。今後もよろしくお願いします! (2021年9月14日 22時) (レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
こころ - いつも楽しく読ませてもらっています!毎日更新されるのが楽しみです。これからも更新頑張ってください! (2021年9月13日 21時) (レス) id: b96a3cc535 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなり | 作成日時:2021年8月28日 23時

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