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起きたらもう夕方で。
いつのまにか酸素マスクも、
ー京本くーん、点滴交換しますね〜
ー痰、吸引しますね
ー身体拭きますよ〜
隣のベッドから聞こえる聡ちゃんの声で、たいちゃんがいるのは分かっていた。
だけどね、ずっとずーっと。
返事は聞こえない。
だから
ベッドから足を下ろして、そーっとそーっと点滴を動かして…カーテンの向こうへ顔を出した。
「たいちゃん…っっ…」
カーテンの向こう。いつもより白い顔で人工呼吸器に繋がれた、想像以上の姿に驚きよりも恐怖を感じた。
「っ…たいちゃん？…おき、て？…ｯｺﾎ」
「ねぇ…やだよぉ…！ｯｹﾞﾎたいちゃん！」
ぺたぺたと顔に触れても、肩を叩いても、目を開けてくれない。
また、私のせいで大切な人がいなくなる。
そう考えると、こわくて、ふるえて、いきができなくて…
風磨先生や聡ちゃん、櫻井先生が目の前で何か言ってるけど…何も聞きたくない
やだやだ！離れないよ！
たいちゃんのそばにいるからね！
注射いやだ…！眠たくしないで！
これもいらない！！っ！
樹くんも慎ちゃんも来ないで。
こーちもほくちゃんも、なんでいるの…？
やだよ…そばにいさせて…！
はぁっはぁ…っひ！っ…
ギュッと抱きしめられて、押さえられて、また暴れて。
田中「A！お願いだからっ！落ち着け！」
森本「樹そのまま椅子座って抱えてて！俺足押さえるから！」
高地「A〜大我なら大丈夫だから、な？ゆっくり息吐いて…」
北斗「泣くな…助けてもらったんだろっ！しっかりしなさい！」
「Aのっ！せ、でっﾊｧｰ…いなく、なるｯ…っ！たいちゃ、こわっこわい！っﾋｯ…」
樹そのままね、Aちゃーんちょっとごめんな？
櫻井先生の声が聞こえた途端に樹くんの手に力が入る。
冷たい感覚の後すぐに、ぶすっと針が左腕に刺さってぐぐぐーって何かが入ってくる激痛。
「やー！！！ｯｹﾞﾎ！やだ！い゛ぃー！んあー！！」
痛いね…頑張れてるよ…
地獄のような時間、ずっと優しい声が聞こえていて、優しい手が撫でてくれて。
櫻井「よし、がんばったー！痛かったね…これで怖いの消えるからね、おめめ閉じてごらん？」
お薬のせいか、目の前がふわふわして、不安でたまらなかった心が少しずつ落ち着いていく。
そんな時。
樹くんに抱っこされたままボーッとしていた私の頭をポンっと叩いたのは、ずっと足りなかった、大好きなあの手だった。
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きなり(プロフ) - こころさん» 嬉しいコメントありがとうございます…！！こうして言葉で伝えてくださると、とても励みになります＾＾楽しんでいただけるように、頑張ります。今後もよろしくお願いします！ (2021年9月14日 22時) (
レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
こころ - いつも楽しく読ませてもらっています！毎日更新されるのが楽しみです。これからも更新頑張ってください！ (2021年9月13日 21時) (レス) id: b96a3cc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなり | 作成日時：2021年8月28日 23時
