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京本side
最悪。
目が覚めた途端に、酸素が強制的に流れ込んでくる不快感と、少しの息苦しさを感じて、無意識のうちに顔をしかめる。
モニターついてないし、いいか…
完全なる自己判断で、煩わしい酸素マスクを外す。
酸素は薄くなったけど、息はしやすくなった…こんな感覚、分かる人にしか分からないんだよな。
腕に繋がる点滴を見て、自分の状態を把握する。
いつもより早い拍動は、こいつのせいか…と点滴パックを睨みつけた。
高地「おい不良患者。それまで取ったらマジで怒るからな。」
カーテンの向こうから顔だけ出した高地に睨まれる。
「あー、もうバレちゃった…？(笑)お願い、ｯ…高地せんせーみのがして？」
高地「そーんな胸元押さえながら言われても、説得力ないから。ん、ちょっと力抜いてて…」
バサって俺のTシャツを捲り上げて、聴診器を当ててくる高地。配慮もクソもないな…
まぁ、チェストピースあっためてくれる優しさだけは受け取っておこう。
高地「動悸、これだけ出てたらキツイっしょ。やっぱりもう少しだけ酸素つけといてくださーい。」
「これ取ってくれたらすぐ治るのに…。」
高地「なに？モニター繋げてほしいって？」
「言ってないよ…あーもぅ…」
こいつこそ、笑顔の仮面をつけた鬼だ。
もう少し寝てろって言いながら、酸素マスクを俺につけた高地はまた仕事に戻っていった。
夜勤明けで眠れていなかったせいで、苦しみつつもウトウトしていた俺は、カシャンと何かが落ちた音で目を覚ます。
時計を見るともう17時。もう少しで樹たちも帰ってくるな…なんて考えてたんだけど、なんとなく。なんとなーくさっきの音が気になった。
なにが？って聞かれたら答えられないけど、看護師の勘とでも言っておくか。
チラッと隣を覗くと高地と北斗は診察中。特に変わった様子もない。
だとしたら…
サーッと血の気が引く感覚。腕に繋がった点滴なんてお構いなしに逆隣の、おそらくAがいる処置室に駆け込んだ。
っA！！
ベッドの下に倒れ込んだAが伸ばした手の先には虚しく転がる吸入器があって。
あぁ、これが落ちた音か。なんて頭の片隅で考えながら、自然と身体が動いていた。
Aの身体を抱き起こして体制保持、吸入の介助に呼吸誘導。意識を飛ばさないように、肩を叩きながら声をかける。
点滴が抜けたからか、腕から血が流れるのも気にならないくらいに、俺は看護師としてここに存在していた。
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きなり(プロフ) - こころさん» 嬉しいコメントありがとうございます…！！こうして言葉で伝えてくださると、とても励みになります＾＾楽しんでいただけるように、頑張ります。今後もよろしくお願いします！ (2021年9月14日 22時) (
レス) id: d102b3716c (このIDを非表示/違反報告)
こころ - いつも楽しく読ませてもらっています！毎日更新されるのが楽しみです。これからも更新頑張ってください！ (2021年9月13日 21時) (レス) id: b96a3cc535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなり | 作成日時：2021年8月28日 23時
