文豪たちの（病み）恋愛日記！

Page5：中島敦（前編） ページ5

『ただいま出張から戻りました！』

「おかえりなさい、Aさん。」

「お久しぶりですわ！」

「……おかえり。」

『ただいま、賢治くん、ナオミちゃん、鏡花ちゃん。久しぶりって言っても一週間だけだけどね。』

「怪我はないかい、A。」

『与謝野先生、お久しぶりです。怪我はしてないですよ。』

「おかえりAちゃん。久しぶり入水でもしにい？いい川を見つけたんだよ。」

「A、報告書は書いたか。」

「Aーお菓子買ってきてー。」

『お三方は変わりありませんね…。あら、谷崎さんと敦くんは？』

「お兄様たちは仕事に行ってますわ。でも、もうすぐ戻ると思いますわ。」

ガチャ

「ただいま戻りました…あ、Aちゃんおかえり。」

『谷崎さん、ただいまです！敦くんは何処に？』

「あれ、先刻まで一緒にいたンだけど。」

「最近、敦君は元気がなかったからね。」

『そうなんですか？じゃあ私挨拶もしないといけませんし、探してきます。』

「帰ってきたらすぐに報告書を書け。」

『どうしてそんなに報告書にこだわってるんですか？』

「どこぞの唐変木(太宰)が報告書を真面目なに書かなかったからな…！」

「だって面倒なんだもん。」

『太宰さん…』

国木田さんの怒りに火がついた所を尻目に、私は探偵社を出て敦くんを探しにいく。

『あ、いた。』

「…！？A、さん？」

『久しぶり、敦くん。』

「今日帰ってきたんですか？」

『そうだよ。敦くんは大丈夫？元気がなかったって聞いたんだけど…』

「…大丈夫ですよ。少し体調が悪かっただけです。Aさんは出張、どうでしたか。怪我とかしませんでしたか？」

『そっか、私は怪我はしてないよ。出張もそこまで大変ではなかったし。』

「そうですか…良かった。」

『そんな安心したような顔しなくても。そんなに嬉しい？』

「はい！当たり前じゃないですか！」

『まぁ同じ仕事仲間だしね。』

「…それもありますが、僕は…Aさんがいないと…。」

『え？ごめんね、聞こえなかった。何て言ったの？』

「いえ、なんでもありません。Aさん、探偵社の仕事が終わったら、僕に少し時間をくれませんか。」

『？いいけど…』

「ありがとうございます。じゃあ、探偵社に戻りましょう。」

Page6：中島敦（後編）→←Page4：太宰治（後編）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す