Page3:太宰治(前編) ページ3
バァン!
『また、銃の音…」
最近夜になると、家の近くで銃の音がする。それも何発も。おそらくポートマフィアが何やらやっているのだろう。
『どうして家の近くでやるの…?』
私はただの一般人で、人を殺したこともないし死体を見たこともない。それなのに、銃の音がすると自分も殺されるのではないかと心配になるのだ。
『今日も眠れないのかな…』
最近は夜も眠れない。何処にいても不安で心が休まらない。
『あの人に明日、会えるかな…。』
会って話を聞いてもらいたい、そう思いながら、瞼を閉じた。
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『おはようございます。』
私は探偵社の下にある喫茶店、うずまきで女給として働いている。皆さんとても良い人で、信頼できる人たちだ。
「おはようAちゃん。」
『太宰さん、おはようございます。仕事はどうされたんですか?』
「国木田君が仕事したそうだったからあげたんだよ。」
私が会いたかったのは探偵社員の太宰さん。趣味が自"殺という一寸変わった人ではあるけれど、私の相談に乗ってくれる良い人だ。
「また眠れなかったのかい?」
『…そうです、また、不安になってしまって。』
「無理もないよ、一般人であれば近くで銃声が聞こえて怖がるのが普通だ。女性となれば尚更だよ。」
『でも、ずっと睡眠不足は困るんです。どうして家の近くでやるんでしょう。それに、今では昼でも不安になる時があって…。』
太宰さんと話しているときが唯一安心する。太宰さんは私に親身になってくれるから。
「…ねぇAちゃん。私と一緒に暮らさないかい?」
『…へっ!?』
「この状況で言うのは卑怯かもしれないが、私は君が好きだ。これは冗談じゃない。私は君が憔悴していく姿が見ていられないのだよ。君を助けたいんだ。」
『急に言われても…』
「私のことは嫌い?」
『嫌いではありません。』
「なら良いじゃないか。」
『…心の整理がついていないのです。答えはまだ出せません…』
「……分かった。じゃあ私は仕事に戻るよ。」
『すいません。』
「謝らなくていいよ。でもね、Aちゃん。」
『はい?』
「私は君予想を遥に超えるほど君に恋をしている。…それだけは覚えておいて。」
そう言って太宰さんは探偵社に戻る。私は、暫く放心せずにはいられなかった。
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霞草(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります (2月5日 18時) (レス) id: bf2bd1b5e3 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺 - ヤンデレは良いね、やっぱり。くにきぃだ君がヤンデレ…。めっちゃ面白かった (12月9日 21時) (レス) @page9 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - 国木田くん推しててよかった (11月28日 23時) (レス) @page1 id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
snow?(プロフ) - めっさ好き。続き楽しみ。アイラブヤンデレ。アイラブ文豪。(語彙力とは) (11月24日 0時) (レス) id: 6393b502b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霞草 | 作成日時:2023年11月23日 23時