【チェンソーマン】備忘録【反応集】 (ページ45)

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【詳細】雨＊マキマ_1 ページ45

30話より

***

唐突だが私は今、人生初のラッキースケベに遭遇している。

漫画なんかでありがちな…雨に濡れた女の子のシャツが透けてしまうあれだ。

そして私の隣を歩く彼女の今日の下着は

黒のレース！！！！！

って違う。何デンジ君みたいなこと考えてるんだ私は。
一瞬でも脳内でガッツポーズしかけた自分が憎らしい。

とにかくこの状況をマキマさんに伝えないと。

『あの、マキマさん…！』

「なに？Aちゃん」

こちらに向けられた柔らかな笑みはまるで女神のように眩しい。後光が刺して見える。

しかし今はその笑顔をおちおち堪能している場合でもない。

『服、透けちゃってます。何か隠せるようなもの…』

「ああ、私は別に気にしないよ。それより君の方が透けてるけど平気？」

『…………

平気、じゃ、ないです』

女神の微笑みから自分の胸元へと目線を落としたときの絶望感ときたら。

よりによって今日身につけていたのは学生時代からお世話になっている色褪せたボーダー柄。

下着が学生時代と変わらないことから察してほしい。

誰なんだ。大人になったら勝手に胸も大きくなるとか言ったのは。
詐欺罪でタイホされれば良いのに。

世界はなんて残酷なんだろう。マキマさんの魅惑の黒レースと私の貧相なボーダーでは何もかもが違う。

まさに胸囲の格差社会。
雲泥の差。
月とスッポン。

ありとあらゆるバッシングが脳内を過ぎ去った頃。
せめてもの人権を掴もうと、持っていた鞄を胸の前で抱えるという妙案に辿り着いた。

これでこの場は凌ぐしかない……

解決策を見つけホッとしたのも束の間、ふと近くを歩く男性二人の会話が耳に入ってきた。

「なぁ見ろよ、あの人」

「うわ黒レース。しかも美人」

「雨宿りって体(てい)で誘ってみる？」

「アリ」

……何言ってるの。

背筋がゾッとした。

気持ち悪い。その下心丸出しの言動に吐き気がする。

そんな目でマキマさんを見るな。不敬罪で逮捕するぞ。

自分も一瞬そういう目で見ていたことはすっかり棚に上げ、軽蔑と恨みをたっぷり込めて二人を睨みつける。

すると彼らは「あ〜でもツレは微妙だな。萎えた」とか何とか言って立ち去っていった。

これ、私が微妙なおかげで助かっちゃった？

初めて自分の平凡なビジュアルに感謝した。そして少し虚しくなった。