【チェンソーマン】備忘録【反応集】 (ページ40)

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彼がその程度の悪魔に逃げられるなんてヘマをするはずがない。

すなわち、"逃げられた"ではなく"逃がした"の方が正しいはずだ。

＿＿もしや彼はこの性転換というご都合展開を楽しもうとしているのではないか？？

間違いない。それしかない。

『よし、それじゃすぐに探して殺そうさっきのダサ悪魔』

「その前に一旦休憩しない？」

『いや今すぐ！！こうしてる間もどこかの誰かが予期せぬ性転換に苦しんでるかもしれないんだから！！』

「まさに今俺が苦しんでるんだけど」

『君はもっと苦しんだ方がいいよ』

「なんでそんな怒ってんの怖」

悪びれないその綺麗な顔、いつか一発殴らせてほしい。

結局私達は路地裏を歩いて回ることにした。そう遠くには逃げていないだろうし、幸いここらで身を隠せる場所はそう多くない。

それにしても隣を歩く吉田君、改め吉田ちゃんは実に上機嫌だ。

私から手鏡を受け取り己の姿を確認すると、「俺すげー美人だな」と口元を緩ませた。
その姿すらサマになってしまうから憎らしい。

極めつけは先ほどから鼻孔を擽る甘い匂い。

『…なんか、いつもより良い匂いする』

「そう？もっと近くで確認してみる？」

『えっ』

はっと気が付いた瞬間、彼女の整った顔が目と鼻の先にあった。

近い、近すぎる。鼻と鼻がくっつきそう。あと柔らかい。そしてやっぱり良い匂い＿＿

じゃなくて！

このままでいられては私の心臓が持たない。何とかして離れてもらわないと悪魔退治どころではなくなってしまう。

吉田君が上機嫌なとき、決まって私に良いことは一つもないのである。

やっとの思いで身をよじって抵抗を試みるも、ものすごい力で腕を掴まれて振りほどくことが出来ない。

その華奢で真っ白な手のどこにそんな馬鹿力を隠してるんだ…

女の子になってもなお変わらない力の強さに思わず脱帽した。