目覚め ページ19
燃え盛る炎の中で小さい僕が泣いていた
周りを巻き込むアドラの炎
僕の周りで沢山の人が死んでいく
伸ばした手も人を救いたい為に鍛えた力も
何もかも無力で、意味の無い物だ
「君は難儀だね」
『天照…』
「責務とか守るべき命とか、重っ苦しい見えない責任とやらに押し潰させそうになって
手に抱えきれないほどの命を守ろうと奔走して、勝手に自分を追い詰めて、他人は守ろうとするくせに自分のことは守らないでさ
身勝手にもほどがあるよ？」
『…僕は…』
「しーらない」
『えっ』
僕を揶揄うように笑う天照
「私は君ではないし、君の内に秘めていることなんて知らない
そんな重い考えを押し付けられたくもない
優しくしてもらいたいのなら君を想う奴らに聞いてもらえよ」
肩を押されて、炎に身体が包まる
炎の中から出てきた手に引かれて、辺りは暗くなっていく
「君が自分を許せたらまた会おうよ」
『天照！』
視界が完全に暗くなった時、はたりと目を覚ました
視線の先の天井は薄暗く、辺りは落ち着いた静かさを纏う
現在の時刻が夜だということをまだはっきりとしない頭で理解した
『(夢……か)』
唐突な脱力感と夢にしては鮮明な出来事に多少の不快感を覚えた
自分を許す事なんて、到底出来ないことを言われてしまった
僕は僕自身が一番嫌いだ
少し手に力を込めれば、右手から熱が伝わってくる
目を向ければ紅くんが胡座をかいたまま眠っていた
その姿勢は首を痛めてしまうな
まだその顔に幼さを残す青年、心配してくれたのか
意識を飛ばす寸前に見た悲しげな顔に胸がずきりと傷んだ
もう、誰かを不幸になんてしたくない
そう思っていたのに
随分と大人らしくなった手を握る
暖かくて、自然と涙が出た
「ん…A…？
ッ起きたのか!!」
『？！う、うん…そんなに長く寝てた？』
「今日で3日だ」
『…久しぶりに良く寝たみたいだ』
心做しか身体が軋むような気もする
ゆっくりと身体を起こす、シンシャとの戦いで負った傷はもう癒えている
「…あんまり無理はするな」
『ごめんね』
自嘲気味に笑う
何時もよりぎこちなくなってしまうのはきっと僕の利用価値を知られてしまったからだろう
僕は世界を滅ぼす存在
この世で最も価値のない命
「そんな顔、してんじゃねぇよ」
『え…？』
「ずっと考えてた、どうすれば俺の気持ちがお前に伝わるのか
いいか、聞け、俺がお前をどう見てるのか」
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れお(プロフ) - 続きが気になる、、ここで終わっているのがすごくもったいない、、 (2020年11月24日 18時) (
レス) id: b29a35a684 (このIDを非表示/違反報告)
朧 - 続き楽しみにしてます〜！！ (2020年9月25日 12時) (レス) id: 1f4ab3e25a (このIDを非表示/違反報告)
門神(プロフ) - 未羽さん» ありがとうございます!!楽しんで貰えるよう頑張ります!! (2020年6月11日 1時) (レス) id: 170f584af4 (このIDを非表示/違反報告)
未羽(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！これからも楽しみにしてます！！ (2020年6月11日 0時) (レス) id: c79f5e12a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：門神 | 作成日時：2020年6月10日 23時
