消えない炎を愛していけない【2】

浅草 ページ1

賑やかな町、浅草

よく出入りしていたこの町は相変わらずの雰囲気だ
原国主義が集まる浅草では姓と名を普段と変えて名乗る方が印象的にいい

あと防火服で歩くのはちょっと目立つなぁ

少し歩くと第7消防隊の詰所が見える


『全員で入るのもあれだし僕は外で待ってますね』

桜「分かった」


そう言うと大隊長は暖簾を分けて中に入っていく
さっき連絡入れてもう居るんだからそりゃ驚くか


桜「すみません…先程連絡した第8です

もう来ちゃいました…」


紅「……あ！？」


紅くんの低い声が聞こえる
懐かしさからか奥歯がむず痒いような感じだ
中の声は結構聞こえるから外にいても平気だな


紅「急に押しかけてくるとはどういうつもりだ？」


桜「消防官規則に則って事前に確認した方が良かったでしょうか？

新門紅丸大隊長は面倒な手続きがお嫌いだと聞いて直接来ることにしたのですが…」


紅くんは大隊長会議でも見た通り、名前の呼び方にはうるさい
桜備大隊長はそれを知っているのかは知らないけど、やっぱり尊敬するほど人のことを理解している



紅「勝手に来ちまったことは…まぁいい、だが伝導者の調査だがなんだが知らねぇが

俺達のシマを勝手に荒らされるわけにはいかねェんだ…

第7には第7のやり方がある」



桜「大隊長会議も途中退場されてましたが…第7は伝導者の一味を無視していくおつもりですか？」


無視…というより彼からすれば見えない皇国の敵をどうしようと興味のない話なんだろう
浅草は皇国唯一といえる原国主義の町

皇国のやり方とはそぐわないだろう



紅「伝導者も白頭巾も皇国の定めた敵だろ？興味がねェってのが正直だな…

いや、白頭巾のやつにいる赤髪の野郎…俺達の敵はあいつだけだ、それ以外のやつに興味がねェ」


赤髪…？
伝導者一味の赤髪って…


桜「…？伝導者は人工的に“焔ビト”を作り出している

次はここの町民がターゲットにされる可能性もありますよ」


目的を果たすためなら手段も厭わない
それが彼らだ、人を傷つけることに対してなんの感情もない

伝導者に導かれるがままに進むだけ


だからこそ彼らは脅威なんだ

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