素敵な恋人【なにわ男子】 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:7,142 hit

溶けるようなベーゼページ1

『もう寝るんでしょ』
「ぃや……まだねーへん……」

……ふう。
何回目？このやり取り。

ソファでくつろいでたら、小説を読んでたわたしの肩に頭をくっつけてきたかずくん。もうとっくに目を閉じてる。

目を閉じたまま、わたしの言葉に答えてる。

『はみがきしてたよね？』
「ん……したぁ……」
『じゃあベッド行こう。ね』
「ここでええの……ねむぃ……」

子どもみたいに目を擦すって眠たそうにするから、急がないと寝ちゃいそうで。

かずくんの頭をぽんぽんと叩いて『行くよ』って言って、お腹にわたしが抱きつく格好で立ち上がる。持ち上げればちゃんとついてくるかずくん。

足、ちょっとずるずるひきずってるけどね。

『こけないでよ』
「ん〜……ん、」
『わっ』

自分の足に絡まってつまづきそうになる彼。もう、なにやってんだか。

『かずくん。……ついたよ！ほらベッド！』

今朝ベッドメイキングしてから乱されていない布団に、もそもそ行儀よく入っていく。意外とちゃんとしてるんだから。

かずくんは白いシーツのふかふかの羽毛布団に肩まで埋まって頭だけ枕に乗せる。顔だけ出てて可愛い。ぱちぱち瞬きは、あざとい。本人無自覚でやってるんだろうけど。

わたしも反対側から布団の中に身を埋めると、その布団の揺れに目を覚ましたかずくんがゆっくりと。薄らと目をひらく。

「……きょうなぁ、ずーっとAのこと考えてたやぁ……」
『なんで？』
「あいたいなぁ、って……思っててぇ……」

喋ってる間にもぱち、ぱち……とゆっくりとじたりひらいたりする瞼。

わたしがかずくんを見てるのを確認するように、かずくんもわたしを見てる。目が合ったら嬉しそうに細くなるその目。思わずなぞりたくなっちゃうけど、照れるからぐっと耐えた。

「お昼にぃ、コンビニで……お弁当買ったんやけどぉ」
『うん？』
「卵焼き……Aのがいちばんおいしいからぁ……あいたくなってん……」

卵焼きで？

『かずくんは甘いのがすきやもんね』
「……あまいのがええなぁ……」

とろ〜っとした目がとじる前に、わたしの腰に手が巻きついてくる。かずくんの、手。

眠たいからか、あったかくて気持ちいい。ぎゅう、と全体的に身体に抱きついてきて、首筋に顔を埋められた。

何回経験しても、慣れない。