Epilogue ページ41
▽
今年もまたこの季節がやってきた。
灼けるような暑い夏が終わり、少し涼しくなってきた初秋。
＿＿ 「ジェシー、元気かな…？」
決して届くはずがないと分かっているのに、今でもたまに空に向かって話しかけては、うるさいくらいの静寂と哀悼が全身を襲い、寂しくなる。
あなたの、影を探している。ずっとずっと探している。
彼が眠る墓石の前にそっと手向けた紫苑の花。
ジェシーは、…幸せでしたか？ 俺は、あなたと逢えて幸せでした。
… 空を仰ぐと、一番星が輝いていた。
＿＿ 「ふふ、来てくれたんだね ジェシー。」
ねぇ、ジェシー。 俺、頑張って生きているよ。
今日ね、会社で俺の企画が通されたんだ。
就職してしばらく経つけど、はじめてのことだった。
やっぱり俺、身体弱いからさ。
自分が思うようにいかないこともあるんだ。
悔しくて堪らなくて、どうしようもない日もある。
けれど、そんなときこそ笑っている。
辛いときこそ、笑っている。
これはジェシー教えてくれたこと。
生きるって、すごく苦しいね。
けれど、誰かの優しさに触れるたび
この世界も捨てたもんじゃないな、って。
そう思う。
ジェシーは、どんなときも強い人間だった
他人の悲しみを一緒になって悲しむことができる
自分の弱さや痛みは、隠してしまうのに。
ひとりで頑張りすぎてしまうんだ。
そんな素敵な人だった。
この先の未来、絶対にジェシーのことを、忘れない。
俺はまた、胸に誓う
そのとき、風が吹いた。
・
ベッドに備え付けられた、小さな白いテーブル。
俺が向き合う机は、落書きがされた木の机でもなく、
小さな頃から使っている色の褪せたシールが貼られた勉強机でもなく。
本当に小さな、ペン立てもライトも置けない白色。
それでも俺は、万能な相棒だと思っている
相棒の上に置かれた、新入りのB5版のノート
沢山書きたいけど、残りの時間を考えて。
5行。
数えられる数字が、少しづつ増えていく。
今日達成したそれを書いて、残り4行。
すらすらとボールペンを走らせて、3行を埋め残り1行
その1行がなかなか思いつかなくて＿＿＿
・
・
・
・
＿＿「こーち、次はいつ来る？」
【FIN】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 313人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し26615号(プロフ) - カスミソウを観覧したいのでパスワードを教えてください (11月21日 13時) (
レス) id: e076ad06d9 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 涙止まらないです。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (11月11日 12時) (レス) @page41 id: a4ea728afa (このIDを非表示/違反報告)
しゃぼん(プロフ) - 桜花さん» 桜花さん，しゃぼんと申します。お話の感想とてもとても嬉しいです。ふたりでこのお話を創った時間が一気に蘇りました。これからも何卒よろしくお願いします！ (2021年10月23日 10時) (レス) id: 6ba1b619fe (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 桜花さん» 桜花さん ありがとうございます！ 2人で丁寧に練ったお話だったので、そう言っていただけてとても嬉しいですし光栄です。これからも愛していただけたら...と!' (2021年10月22日 20時) (レス) id: a0ba54fd23 (このIDを非表示/違反報告)
桜花 - ボロッボロに泣いてしまいました。こんなに悲しいのに温かいお話を書いてくださって本当に有難うございました (2021年10月21日 20時) (レス) @page42 id: ae229e33a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みかん・しゃぼん
x他1人 | 作成日時：2021年5月29日 18時
