・ ページ27
Side Yugo
▽
「ばかじゃん...俺が、いちばん...」
ジェシーの白い脚に水溜まりができて、慌ててティッシュで拭う。
少し拭っただけで、赤くなって。
それを見たら大騒ぎしそうなこいつを想像して、またひとつ床に水溜まりが出来た。
丸椅子を引っ張ってきて、ジェシーのすぐ側に座り。
右手の小指を、彼の小指に絡める。
「......おい、最近こーちって声聞いてねぇぞ?
次、いつ来る?も....うるさいメールもこないし。
俺が、毎日来るようになったからさぼってんの?
...ねぇ...おれ、久しぶりに聞きたいんだけど」
威勢よく話しかけたのはいいものの。
本音は、ジェシーの鼓膜に届く前に床へ墜落しそうなほど、弱く情けないものになっていた。
ぴくっと俺の小指に、力が籠ったような気がして急いでジェシーの顔を見る。
「はぁ........」
大きく息を吐き出して、とろりとジェシーの切れ長の眼が開く。
朦朧としているのか、俺を捉えることもないけれど。
確かに開いた薄茶の瞳には、まだ光があって。
俺の小指にもう一度力を込めたジェシーの指から、彼の声が聞こえたような気がした。
「こーちっ、明日来てね?早くね、約束」
何故か、聞きたくてしょうがなかった「こーち、次はいつ来る?」ではなくて、
''明日''と決めつけられたそれに、俺はどこか納得したような安心したかのような不思議な感覚に陥った。
きっと明日が、俺とジェシーの特別な日になる。
313人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し26615号(プロフ) - カスミソウを観覧したいのでパスワードを教えてください (11月21日 13時) (レス) id: e076ad06d9 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 涙止まらないです。本当に素敵な作品をありがとうございます。 (11月11日 12時) (レス) @page41 id: a4ea728afa (このIDを非表示/違反報告)
しゃぼん(プロフ) - 桜花さん» 桜花さん,しゃぼんと申します。お話の感想とてもとても嬉しいです。ふたりでこのお話を創った時間が一気に蘇りました。これからも何卒よろしくお願いします! (2021年10月23日 10時) (レス) id: 6ba1b619fe (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 桜花さん» 桜花さん ありがとうございます! 2人で丁寧に練ったお話だったので、そう言っていただけてとても嬉しいですし光栄です。これからも愛していただけたら...と!' (2021年10月22日 20時) (レス) id: a0ba54fd23 (このIDを非表示/違反報告)
桜花 - ボロッボロに泣いてしまいました。こんなに悲しいのに温かいお話を書いてくださって本当に有難うございました (2021年10月21日 20時) (レス) @page42 id: ae229e33a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みかん・しゃぼん x他1人 | 作成日時:2021年5月29日 18時