次期社長とその秘書その69 ページ35
「話します、過去のこと。」
嵐のような彼女が去ったらあとの仕事は互いに無言、静かでスピーディーだった。
終わらせ、帰るとき。一期さんは子犬のような目で見ていた。きっとキスを見られたからだろう。
勿論くやしかったし悲しかったし二度と見たくはないけれど、あれが不可抗力ということは流石に理解できる。というかあれを避けられるのは余程の達人。多分転職したほうが良い。
『分かりましたからそんな顔しないでください。いじめたくなっちゃうでしょう。』
「変態ですか」
『冷静なツッコミができるなら大丈夫ですね。』
落ち込んでて素直に受け入れたらなとおもい録音してたのに。
「なんなんですかもう。
……では話しますね。」
そういうと一期さんは深呼吸して、少しうつむきながら話始めた＿＿。
**
高校二年生、春
私粟田口一期は、粟田口家の長男として勉学に励んでいた。
「はじめまして、一期君。これからよろしくね。」
そのときの家庭教師が彼女、長野愛佳
当時大学生であった。
勉強の教え方や、声の柔らかさ、仕草、何からならなにまで彼女は魅力的で……。
私が彼女に恋をするのにそう時間はかからなかった。
「好きです、付き合ってください。」
「……よろしくおねがいします！」
合格を伝えるため高校を卒業した次の日、私は意を決し彼女に告白。見事付き合うことができた。
一年間、毎日が幸せだった。
そんなある日のこと……。
「いまの、男の人は誰ですか？」
「大学時代の知り合いだよ〜」
「……キス、してましたよね？」
予定より早く待ち合わせ場所についたとき、見覚えのある姿。彼女と別の男がキスをしているのを見てしまった。
問い詰めたところ、しばらくして彼女はぷつんと糸が切れたように表情を変える。
「だから、愛情はみんな平等なの！みんな大好きで大切なんだって！！なんでわかんないかな！！
……もういいや。」
無機質な冷たい目、明らかにめんどくさいオーラが丸出しになった。子どもがもう関心がないおもちゃを捨てるときのようにすっぱりと、
"＿＿……めんどくさい。じゃあ一期君、きみはもう
いらない"
別れを告げられた。
それから、女の人が信じられなくなった。
それだけで？とまわりの人たちは笑ったけど、本当に愛してた人に裏切られたのだから。
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「夕霧」(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます！続き頑張ります！ (2017年5月23日 21時) (
レス) id: c5d4c961eb (このIDを非表示/違反報告)
えみ - 一期さんの、今の心境がとても気になるところですね！ 続き楽しみにしてます！ 更新頑張ってください。 (2017年5月23日 0時) (レス) id: 6dbbb4e8d8 (このIDを非表示/違反報告)
「夕霧」(プロフ) - かれーるーさん» 多分『貴方にとって私は何か、私にとって貴方は何か』と書きたかったのでしょうね....。思いっきりミスです、ご報告ありがとうございました (2017年3月19日 9時) (レス) id: c219ab92cb (このIDを非表示/違反報告)
かれーるー(プロフ) - 46話の『貴方は私にとって何か、私にとって貴方は何か』の部分についてなんですが、意味同じ…ですよね？(笑)あと、いつも楽しく読ませてもらってます、ありがとうございます (2017年3月16日 2時) (レス) id: 78b47361d2 (このIDを非表示/違反報告)
「夕霧」(プロフ) - unlearnさん» コメントありがとうございます！！返信すごく遅れてしまい本当に申し訳ないです、受験頑張ります！！ (2017年3月7日 20時) (レス) id: c219ab92cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：「夕霧」 x他1人 | 作成日時：2016年12月18日 9時
