先生、あのね (ページ6)

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あのね、ページ6

「おいしかった」

「偉い偉い、俺は食器片付けてくるね」

綺麗にカラになった食器をまとめて立ち上がる
ドアを開け外に出ようとしたら腰辺りの服が引っ張られた
どうしたのかと振り向くとなにか言いたげなAちゃん

首を傾げ彼女を見詰めるとゆっくりと口を開いた

「 ......い、いっしょに片付け... 」

「ふふ、行こっか」

「 ...ん」

Aちゃんの歩幅に合わせ廊下を歩く
相変わらず服の裾は掴まれたままだけど
階段に差し掛かるとパンの焼ける匂いがした

最後の段まで階段を降り談話室に繋がるドアを開けた

「あ、Aちゃんと紬くん！
食べ終わった？」

「はい、美味しかったです
ね、Aちゃん」

「！お、いしかった、です」

「お粗末さまです、口にあってよかった！
あ、食器かして」

「いいですよ、自分で持っていくので」

「そう？あ、Aちゃんもう少ししたらくるみパン焼けるよ」

「！！！」

「あそこに座って待ってよっか」

「 ....でも「監督」...！」

いきなり現れた真澄くんにびっくりしたAちゃんは眉を下げ俺の後ろにさっと隠れた

やっぱり服は掴むんだね、Aちゃん

「監督、俺ら部屋に戻りますね？」

「うん！あ、Aちゃんよかったら先にお風呂入る？」

「ん... 」

「紬くん案内してあげて！」

監督の言葉に頷き食器をキッチンに置き水を張る
ぎゅっと服の裾を握ったAちゃんは俯いたまま俺の後を歩いてきた
監督の部屋に戻りAちゃんはパジャマを持って、俺はお風呂場まで案内する

お風呂場に着くとAちゃんも止まる

「せ.....せんせ、待ってて？」

「うん、ここで待ってるね」

「うん」

服から手を離したAちゃんは何度もこっちに振り向いて脱衣所に入っていった

俺は逃げないよ