6年越しの恋の行方【3】 (ページ10)

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『お疲れ、大丈夫？』

「ちょっと熱あるくらいだから」

玄関を開けたら

両手いっぱいに袋を持っているAがいた。

俺は寝室

Aはリビングに向かいながら

家の中はAの大きな声が響く。

『ねぇ、優くん！聞こえてる?』

「うるせぇ」

『そんな悪いの?』

ベッドに潜っていると

Aが寝室の扉から顔を覗かせる

『どれどれ』

首もとに冷たい感覚と同時に

おでこにコツッと当たる

閉じていた目を開けると

Aの顔が目の前

目の前って表現が正しいのかってわからないほど

俺今からキスするの？ってくらいに近い距離

「キスしたいの？」

『熱で頭おかしくなったんじゃない？』

「手きもちぃ」

『ご飯食べれそう？』

「うーん」

『作ってくる』

離れる手を掴もうとするけど

掴めきれなくて部屋から出ていく彼女

『優吾くーん大好きなアン◯ン◯ンの冷えピタですよー』

そう言って俺のおでこはひんやりする。

「見えない」

『みたいの？水分補給してる？おいとくから飲んでね？』

「ねぇ」

『ん？』

「手貸して」

『なに？』

差し出された手を自分の首元に持っていく。

やっぱ冷たくて気持ちい

『保冷剤でも持ってこようか？』

「手握ってたい」

『なにそれ』

「寝るまででいいから」

『中学生より子供じゃん』

思春期真っ定中の中学生男子が

可愛い保健室の先生にこんなこと言えねぇよな

てか、俺もA以外にこんなこと言わねぇけど

『火止めてくるからすぐ戻る』

言った通りすぐ戻ってきたAに手を差し出すと

ギュッと握ってくれた。

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