検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,256 hit

第4話 遅刻 ページ8

午前8時頃、少しずつ人気が出てくるこの時間。
私は家を出て武装探偵社に向かう。


(・・・あぁ、出勤時間より少し遅いかもしれない。国木田君に朝から怒られるのは勘弁だな。)


弟の治より、遅刻回数は少ないものの私Aはなんだかんだ言って遅刻常習犯である。

そして、その治はまだ家で支度をしているかしていないか・・・。まず、二度寝をしていないか不安なところではあるがあと2時間後には来ることだろう。

(出ていく際に、治に一緒に行こうと駄々をこねられたが治を待っていると社にいくのが段々めんどくさくなってしまうのだよねぇ。)

「あ、おはようございます!!Aさん!!」

ふと、少し遠くの方から自分の名を呼ぶ声がして顔を上げる。
そこには不恰好に走りながら此方に向かってくる敦の姿があった。

斜め前を見れば、すぐそこに武装探偵社が
あり、もう着いたのかと思った。

「おはよう敦、珍しいね遅刻だなんて。
もしかして寝坊でもしたのかい?」

「は、はい!鏡花ちゃんが起こしてくれたんですが二度寝してしまって・・・。」

「なるほどねぇ。そのせいで鏡花にも
置いていかれてしまったの?」

「その通りです・・・。」

息切れをしながら答える少年に、Aは
それは災難だねぇと笑うと

「そういえば、太宰さんはどちらに?」

治の姿が見えないからだろうか、敦は
辺りをキョロキョロと見回しわたしに尋ねる。

私と治が恋人のようにくっついて過ごしているからだろうか。
私と治が一緒では無いと不思議と感じるほどになってしまったのか。

「私と治が一緒にいないと不思議なのかい?」

「あ、えーとそうですね・・・。
僕が入社した時からお2人はずっと
一緒にいらっしゃるので・・・。」

ああ、治の意のままだ。
そう思いながら髪を耳にかける。

「治は今日は遅れて来るそうだよ。
まあ、いつもの事さ。」

敦はそうだっけ、とでも言うような表情をしながら「そうですか。」と頷く。

「それよりも、早く社に入ろう。
こんな所で雑談なんてしていたら余計
国木田くんに怒られてしまう。」

そんな事を言うと敦はさっと青ざめ、

「そ、そうでした!!!
早く行きましょう、Aさんっ!!!」


敦は私の腕を引っ張り階段を駆け上がる。

引っ張らなくても急ぐよ。なんて言うセリフは
勿体ないような気がして言うのをやめた。

私に普通に接してくれる数少ない彼の行動を
とても貴重に思いたいからね。

・→←第3話 姉弟



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
13人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:水無月 | 作成日時:2019年9月29日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。