第八話 ページ8
爆豪勝己side
｢私。幸せがこの世で1番怖いの｣
俺の前で正座しながらAはそう言った。
.......幸せが、怖い、だって？
俺はその言葉に驚き目を見開いた。
するとAは目をつぶり息を吸い込んで言う。
｢.......私はもちろんヴィランとかも怖い。だけどそれ以上に怖いものは.......幸せというもの｣
｢なんで、怖いんだ？｣
俺は問いかけた。普通、人は幸せだと《嬉しい》と感じる筈だ。
そして俺はしっかりと彼女の言葉に耳を傾けた。
もう、無理はさせたくないから。
｢私の両親は離婚してるじゃない？だけど、私が小さい頃はとても仲が良くて.......
近所の人からも、“幸せで羨ましい”そして私に
も、“こんな両親がいてくれて、あなたも幸せ者
ね”.......って言っていた｣
｢そう、だったのか｣
｢幼い私も、もちろん幸せだった。ふたりが死ぬまで、それが続くと思ってた。けど、違った。｣
淡々と、けれど時折哀感を感じさせるような表情をしながら、Aの話は進められていった。
俺も慣れない正座をしていたせいで足がジンジンと痺れたが、それどころではなかった。
｢私が小学二年生、の頃だったかな。
突然離婚したんだ。
その時、私のお母さんは、今まで口にしていなかったお父さんの悪口を沢山言っていて。私はその事実を信じたくなかった。
自分の悪口を言われているわけではないけど、とても心が痛かった。
その時から、私は幸せと言うものが嫌いになって。特に恋愛には縁が無くなった。｣
俺はどうすればいいのかわからなかった。ただ、彼女はとても辛かったのだろう。
母親がたとえ離婚し、父親の悪口を言っても、どちらともAの親ということは変わらないのだから。それが、相当ショックだったんだろう。
｢それからというもの.......悲しかったよね、とか大人の人達に同情されて、さ。けど正直全然嬉しくなかったよ。
それで、幸せが怖くなった。
たとえ今が幸せでも、次に待つのは不幸だって、気づいてしまったから。
.......だから、今も不安だよ。勝己といるととても幸せで。
キスとかされそうになると、次に待ってるのは不幸だ、私たち別れることになるのかな…とか、考えちゃっ、て.......こ、わ.......くて｣
話の最後の方では、もはや彼女は泣いていた。その姿が見ていられなかった。
彼女の涙を人差し指で拭いながら、俺は言った。
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三香美あっぽー(プロフ) - 満月さん» 読んでいただきどうもありがとうございます。そして、コメントありがとうございます。面白いと言っていただきとても嬉しいです！ (2018年7月27日 10時) (
レス) id: d9359156bb (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 今日見つけて読ませて頂きました。とっても面白かったです！ かっちゃん…よく、耐えたね。偉いよ、うん。でも、無事にキス出来て良かった〜！完結、おめでとうございます！ (2018年7月26日 21時) (レス) id: d83bdf162b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三香美あっぽー | 作成日時：2018年7月20日 16時
