第五話 ページ5
＿＿＿アイツ、どこに行ったんだよ。
恐らく30度以上ある気温の中、俺は走っていた。
.......暑ぃ。汗がダラダラだった。今この状態で個性を発動させたら大爆発が起きるだろう。
｢っはぁ、はっ、どこだ、よ｣
俺は一心不乱に走った。まだ体力はある筈なのに、喉の乾きからか苦しい。
そんな俺など構わず太陽の光、いわゆる電磁波はギラギラと肌を照りつける。
俺は約1時間程、地面を蹴るように走りまくった。
公園も、Aの家も、とにかく思い当たるところに行った。だか、見つからない。
｢Aーーーー！！ .......お前、どこにいんだよ！｣
どこにも愛しい彼女が見つからないという、行き場のない悲しみ。
そのやるせなさで、絞り出す掠れた声は、思ったより大きくはなかった。
もうフラフラだ。着ていたシャツは汗でぐっしょりだった。このままでは約1時間も走り回っていたせいで、熱中症になってしまう。
｢.......くっ、お前、ど.......こ、だよ｣
足がよろけて思わず尻餅を付いた。地面に手をつくととても熱く、その熱さは俺の気持ちにジリジリと火傷を作る。
視界がぼやける。それは涙なのか、暑さのせいなのか、もはやわからなかった。
.......それくらい、俺は必死だった。
もう無理だ、そう思い瞼が閉じられそうになったその時。
｢あら、あんた大丈夫かい｣
目の前に年寄りの婆さんがいた。
すると、その婆さんは持っていた和柄の巾着から、水の入ったペットボトルを手にして、俺に渡した。
｢さっきコンビニで買ったばかりで、新品だよ。本当はワタシが飲もうと思ったんだけど、お兄ちゃん辛そうだったから。飲みなさい？｣
｢あ、りがとうごさいま、す｣
何とか声を絞り出し、水を飲む。
すると痛かった程に乾いた喉は着々と潤わされていった。
気づくとペットボトルの中は空になっていた。
っはぁ.......と一息ついた後に、婆さんは言った。
｢あんた、うちの孫.......Aと仲がいいんだってね｣
その言葉を聞いた時、まるで反射するように俺は訊いた。
｢っ、今俺Aを探してんだ、どこにいるかわかるか？｣
｢ああ、それならワタシの家にいるよ、来るかい？｣
やっと、見つける事ができた。居場所を掴めた。その安心感と共に、俺は言った。
｢.......っはい｣
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三香美あっぽー(プロフ) - 満月さん» 読んでいただきどうもありがとうございます。そして、コメントありがとうございます。面白いと言っていただきとても嬉しいです！ (2018年7月27日 10時) (
レス) id: d9359156bb (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 今日見つけて読ませて頂きました。とっても面白かったです！ かっちゃん…よく、耐えたね。偉いよ、うん。でも、無事にキス出来て良かった〜！完結、おめでとうございます！ (2018年7月26日 21時) (レス) id: d83bdf162b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三香美あっぽー | 作成日時：2018年7月20日 16時
