番外編 ページ11
｢勝己、あのさ｣
抱きしめる腕を名残惜しいが離す。そして彼女の言葉に答える。
｢.......どうしたんだよ｣
｢キス、したい｣
｢.......は｣
いやいやいや、さっきまでの怖がりぶりはどうなったんだ。という俺のツッコミを含ませ、思わず出てしまった間抜けな声。
Aとしっかり目を合わせながら考える。
これは、してもいい、と彼女の方から言っているんだし、お言葉に甘えてしてしまうのがいいのか。
いや、でもキスする最中に怖さを思い出してしまったら…Aに無理はさせたくない。
けどな、今までキスしていなかったせいで、とまらなくなるかもしれない。
ふと目の前に意識を向けると、とてもキラキラとした目で彼女は俺を見ている。
.......ったく、俺はどうしりゃいいんだよ。
｢よし、するか｣
｢よっしゃかかってこい｣
俺がそう、決断すると彼女のテンションはもう直っていた。こいつ、俺の言葉がどれだけ効いたんだろうな、自分のことだが恐ろしい。
素早くAの後頭部を片手で覆い、唇を合わせた。
ひとつ言っていいか、頭が真っ白だ。
自分の唇に彼女の柔らかい唇が合わさった感覚。そんな感覚に身を任せられ、それ以上なにも考えられない。
お互い息が苦しくなって唇を離した。
そして、今まで我慢していた自分の欲望が大きくなっていくのが分かった。
｢.......っは｣
｢.......っあ｣
お互い言葉にはならないような小さな声を発した。
するとAは笑顔で言った。
｢勝己とキスするの、めっちゃ幸せ｣
｢はっ、俺も｣
｢もっかいお願い｣
｢.......あ？｣
いや、これ以上してしまうと危うくそれ以上の行為に移りかねない。.......それだけ俺は今まで我慢していたということか。改めて実感した。
これは、どうしようか、彼女の方から頼まれているのならば、いいよな…ああ、欲望が抑えきれない。
｢いいけどよ、
｢.......まあ、おっけー｣
残りわずかな理性で判断した答え。これで正しかっただろうか。
俺たちは手を繋ぎながら、家へ向かった。
青空が、爽やかな気持ちにさせてくれた。
さあ、家でのことが楽しみだ。
彼女がその気なら
それ以上だってするつもりだ。
まあ、それ以前に
俺は欲望に耐えきれるかだがな。
好きだ、A。
俺はそっと手を繋ぐ力を強くした。
(2018/07/26 09:13:57)
《完》
終わり
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三香美あっぽー(プロフ) - 満月さん» 読んでいただきどうもありがとうございます。そして、コメントありがとうございます。面白いと言っていただきとても嬉しいです！ (2018年7月27日 10時) (
レス) id: d9359156bb (このIDを非表示/違反報告)
満月 - 今日見つけて読ませて頂きました。とっても面白かったです！ かっちゃん…よく、耐えたね。偉いよ、うん。でも、無事にキス出来て良かった〜！完結、おめでとうございます！ (2018年7月26日 21時) (レス) id: d83bdf162b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三香美あっぽー | 作成日時：2018年7月20日 16時
