朝早く ページ9
月が沈み、代わりに日が出始めた頃、天幕からハクが出てきた。タイミングの悪いことに、私は普通より長く細い愛刀を磨いでいるところだった。刀を磨ぎながらおはようなんて言うとハクは、
ハ「朝早く起きて初めに見るのがこれかよ…」
と言ってため息をついた。
貴「酷いね。まぁ、当たり前か。朝から刀を磨いでいる少女を見るとか、最悪の一日が始まる予感だね。」
私は淡々とした口調でそう言った。
ハ「やめてくれ…」
貴「やっぱりハクは目が覚めて一番初めに見るのはヨナがいいみたいね。」
ハ「おまえ、タレ目に似てきたな。」
脈絡のない冗談を言うと、ハクから殺気を感じた。そんな殺気に怖じ気付く私ではなく、表情を変えず、私は刀を磨ぎながらハクに言う。
貴「冗談だよ。冗談。そんなことより、ハクは朝早く起きてなにするわけ？」
ハ「夜、麻薬中毒者がやけに静かだったからな。死んでないか確認だ。」
貴「死んでないわよ。ほら。」
私は使っている両手の代わりに顎で後ろ側を指した。そこには気絶したように眠る麻薬中毒者がいる。ハクは疑うように私に聞いた。
ハ「おまえがやったのか？いったいどうやって気絶させたんだよ…」
貴「睡眠薬だよ。言ったでしょ、医学に詳しいって。」
ハクは思い出したように「あぁ」と声を漏らした。
ハ「成る程な…。だから朝早く起きたのか。」
貴「違うわ。寝る場所がないから寝れないのよ。」
するとハクはまるで心当たりが無いかのように「は？」と言った。
貴「街中に折れなさそうな木はないからね。私寝具も持ってないしただ地面に寝っ転がるのも嫌でしょ。」
ハ「あー、だから暇潰しに刀を磨いでいるって訳か。長い刀だな。細いし、すぐ折れんじゃね？そんな誰も買わなそうな物どこで売ってんだよ。」
貴「別に飾りだからね(本当は違うけど)戦えなくていいのよ。それに貰い物だし。」
そう言うと納得したようにハクは天幕に戻っていった。
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緋鎖闇(プロフ) - お話面白いお話でつい読みいって時間を忘れてしまいました！これからも更新頑張ってください！ (2016年3月22日 6時) (
レス) id: dc7ea6553c (このIDを非表示/違反報告)
李翔(プロフ) - 更新停止してしまうなんてもったいないです (2016年3月5日 8時) (レス) id: d018642a1d (このIDを非表示/違反報告)
獅子王(プロフ) - 面白いです！更新頑張って下さい！ (2015年12月14日 15時) (レス) id: cf45032fbb (このIDを非表示/違反報告)
akira(プロフ) - 更新してくれてよかったです！これからも頑張ってください (2015年9月25日 22時) (レス) id: d018642a1d (このIDを非表示/違反報告)
akira(プロフ) - 更新停止してしまうんですか！！面白いのに (2015年9月23日 20時) (レス) id: d018642a1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀 | 作成日時：2015年6月18日 21時
