鍾離の昔話 ページ8
「なあなあ、星と鍾離ってどーいう関係なんだ?」
たまたま三杯酔でお茶をしていた鍾離先生を見つけ、一緒にどうだ?という誘いに乗り、パイモンがずっと気になっていたことを口にした。
「星と私か。私と魈との関係に近いな」
「じゃあ、星にとって鍾離は恩人ってことか?」
「昔、星を助けたことには変わりないな」
「そうなのか!その話、聞いてもいいか?」
「ああ、いいぞ」
カーンルイアの災厄が終わり、少し平和になった世界で、俺はひとつの業障を遠くに感じた。
近づくと其の者の周りには弱くも結界が張られているようであった。
何も知らない民が間違えて入ってしまわないようにするためのような、そんな弱い結界だった。
俺は結界の中に入り、其の者に近づいた。驚いたことに、其の者は人の子でいうとまだ5歳程の見目をしていた。
まだ夜叉の力を制御する方法を知らずに苦しんでいるのだろう。
何日耐えたのか判りかねるが、長い間この状態なのだろう。
其の幼子は俺が近づくことを感じると声をあげた。
否、あげようとした。
業障に呑まれまいと耐えているのか、はたまた呑まれかけているのか。
其の幼子からはさながら唸り声のような苦しそうな声しかしなかった。
さらに俺が近づくと、攻撃するためにか業障の力が強まった気配がした。
今にも呑まれてしまいそうな、そんな力の強まり方をした。
其の幼子はそのことを感じ取ったのか、ひとつ腹を短く裂き、意識をそちらに向かせ業障の力を弱らせたのだった。
其の幼子の周りの土は赤に染まっていた。
其の幼子の身体は今つけたような傷に溢れていた。
そのような行為でしか、呑まれぬ方法が無かったであろうことは推測するにも簡単なことだった。
俺はさらに其の幼子に近づき、連理鎮心散をゆっくり飲ませた。
近づこうとすると逃げようとしたのか、
俺を避けようとしたのか、
とにかく離れようとしたが、この業障、この傷だ。
たいして動くことも出来ず俺に捕まったのだった。
其の幼子は連理鎮心散を嚥下した後、気を失ってしまったようだった。
そのまま放っておくことも出来ず、俺は其の幼子を連れて帰った。
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てら(プロフ) - ページ1の1行目、タルタリ"ア"ではなくタルタリ"ヤ"です…細かいことですみません🙇♀️ (7月2日 21時) (レス) @page1 id: 372b4e8b3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっく | 作成日時:2023年3月24日 22時