【原神】仙人でも夜叉でもない。凡人でもない。 (ページ32)

今日:22 hit、昨日:65 hit、合計:16,609 hit

重雲との出会いページ32

その日は夏で、とても天気の良い日だった。

僕は純陽の気を抑えるために傘をさして、木陰を選んで、川の側まで歩いていたんだ。

往生堂の裏を少し行った時にひとりの、僕と同じくらいの子供が倒れているのが見えた。

それで、僕は慌てて駆け寄った。

「お、おい、大丈夫か？」

そいつは意識を失ってて、だから返事は帰ってこなかった。

僕は急いで大人の人を呼ぼうとしたんだ。

ちょっと考えればそいつの体内の陽の気が暴れてて倒れてるんだってわかったのにな…。

で、そいつが星だった。

示し合わせたように鍾離先生が来たから、星の所まで連れて行った。

鍾離先生は星を抱えてどこかに行くようだったから、僕はそれに着いて行った。

倒れている人を放って修行なんてできないからな。

鍾離先生は星を川の側まで、つまりは僕が行こうとしていた所まで連れて行くと近くの木陰で休ませた。

ここでようやく、僕はこいつが純陽の体のせいで倒れてるんだって分かったんだ。

鍾離先生はどこから出したのか、川の冷たい水をコップに汲んで星に飲ませた。

木陰に移動して落ち着いたのか、意識が戻ってたらしい。

と言っても、目はまだ虚ろで意識ははっきりしていない。

「」

僕は少し離れたところの木陰にいたから星がなんて言ったのか分からなかったけど、鍾離先生は人差し指を立てて口元に持っていったから多分僕に聞かれたくないことだったのかな〜とあたりをつけ、そちらから意識を反らした。

靴を脱ぎ、川に足先を突っ込む。

同心円状とは言い難い波紋が広がる。

ぼんやりと対岸を見つめた。

「重雲殿」

声がして顔を上げると近くに鍾離先生が立っていた。

目線を少しずらすとさっきと同じところに星が座って眠っている。

「星を助けてくれてありがとう」

「人として当然のことをしただけで…！」

鍾離先生は微笑んでゆっくり頷いた。

「ゆっくり寝かしてやりたいが、私はこの後用事があって往生堂にいれない。重雲殿が見てくれると助かるんだが」

「僕の家ってこと？」

「そうゆうことになるな」

「いいよ！」

ここに来たときと同じように鍾離先生が星を抱えて僕の家に向かう。

「星っていうの？」

「ああ、じゃあ任せてもいいか？」

いつの間にか僕の家が目の前にあった。

そのまま僕のベッドまで運んでもらう。

「うん」