魈の昔話 ページ19
「星の話を聞きたい?」
「おう!魈は星の師匠だったんだろ?なんで星を弟子にとったのか、とか…」
「それは確かに気になる」
「だろ!魈、頼むよ〜」
魈は少し面倒くさそうな顔をしたが話してくれるようだった。
ちなみに魈の少し面倒くさそうな顔とはだいぶ面倒だと思っている顔だということを旅人とパイモンは知っている。
約470年ほど前、魈の元に鍾離が訪れた。
呼び出してくれれば出向くのにわざわざいらっしゃるとは、俺が用があったからいいんだ、といういつもの攻防のあと
「コイツをしばらく預かってくれないか?」
と、帝君の横に立っていたひとりの少年を前に押しやった。
「預かってほしい…とはどういうことですか?」
「文字の通りだ。コイツは仙獣でなくただの人間なのだが、なぜか夜叉の力を有していてな。
その扱い方を教えてやってほしい。
今生きている夜叉というとお前しかいないからな」
「…わかりました。名はなんと?」
鍾離に聞くと、鍾離は少年の背中をとん、と叩いた。
「私の名は星と申します」
「それは帝君がつけられたのですか?」
再び鍾離に聞くと
「はい。私は幼い頃の記憶がないので名も分からず、
鍾離様がつけてくださいました」
再び少年…もとい星が答える。
星は魈からの返事がないことを確認すると
「あの…なんとお呼びすればよろしいですか?」
と尋ねた。困った魈は鍾離を見た。
「ふむ…教えを請う人に当たるからな、
先生、または…師匠でいいんじゃないか」
「では師匠と。師匠、これからお世話になります」
「ああ」
深々と頭を下げた星に、魈は短く答えた。
「ああ、そうだ。星には身を守る程度の槍術と元から覚えていた方術が使える。方術は魈の範囲外だからいいとして、槍術も教えてやってくれ」
「承知しました」
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てら(プロフ) - ページ1の1行目、タルタリ"ア"ではなくタルタリ"ヤ"です…細かいことですみません🙇♀️ (7月2日 21時) (レス) @page1 id: 372b4e8b3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっく | 作成日時:2023年3月24日 22時