差しだされた傘 ページ42
天使は心の中で何度も繰り返します。
女神様…
私を見て憐れんでおられるのですよね…
どうかお願いです…
今すぐ…
私の命と…
天使の証であるこの羽根を…
奪ってください…
頬をぬらす涙が地面に落ちると、街には小さな雨が降り出しました。
砂地が少しずつその色を変えて行く。
行く宛てもないAは、雨にぬれたままただベンチに座っているだけだった。
すると…。
ｻｷ「こんばんわ…。」
そっと傘を差しだされるとAの身体を打つ雨が遮られる。
ビショビショの顔をゆっくり持ち上げると、小さな袋を腕に下げたサキが立っていた。
ｻｷ「やっぱり…。あなた…ドンヘの部屋にいた…えっと…Aさん…よね？」
行く宛てもなく…
帰る場所もなく…
天界から落とされた私に…
まだ苦しめと…
そう仰っているのですか…？
女神様…
頭の中で女神に呟くとAは持ち上げていた視線を落とした。
ｻｷ「こんな所で何してるの…？雨も降ってるのに…。」
相変わらず何も答えてはくれないA。
長い髪の先からたくさんの雨粒が滴っていた。
サキは小さなため息をつくと、Aの腕を軽く掴む。
ｻｷ「もう時間も遅いし、うちへ来て。すぐ近くだから…。」
Aは首を小さく横に振る。
ｻｷ「そんなにぬれてここにいたんじゃ風邪を引くわ。」
「…いいんです……。」
初めてサキに口を開いたA。
私にはもう…
何もない…
とても悲しそうな声は雨の音にかき消されてしまいそうだった。
サキは顔を歪めると、Aの腕を強く引っ張った。
ｻｷ「行きましょう。」
無理矢理連れてこられたのは小さな一戸建ての家。
水が滴っているAを玄関に押し込んだ。
ｻｷ「待ってて。今タオル取って来るから。」
バタバタと廊下を走ってバスルームに入ると、すぐにタオルを何枚か持って帰って来る。
次から次へと広げたタオルでAのぬれた身体や髪を拭いた。
リビングの扉が開く。
ﾕｲ「ママ…？」
ｻｷ「あ、ユイ。ただいま。」
ﾕｲ「おかえり…おきゃくさま？」
小さな足音をさせてサキに近づいてくるユイ。
可愛いピンクのパジャマ姿だった。
ｻｷ「お姉さんぬれちゃってたから…タオル貸してあげてるの。」
そう言ってタオルが頭から外されて顔が見えると、ユイはAの事をジッと見つめた。
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ゆちょみん(プロフ) - 慧さん» ご無沙汰していました！遊びに来て頂いてありがとうございます！ご期待に添えるかどうか分かりませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです^^ (2013年6月1日 0時) (
レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 新作おめでとうございます。今回も楽しませて頂きます！ (2013年5月31日 22時) (レス) id: 35097dfc61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - ミーキーさん» ありがとうございます！たくさん涙腺緩んでください！更新頑張ります！ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
ミーキー(プロフ) - もう、本当に泣きそうです。続きがすごく気になります^^更新頑張って下さい♪ (2013年5月30日 22時) (携帯から) (レス) id: 3a63ee8a7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - はなさん» ありがとうございます！お読み頂いてホントに嬉しいです^^ もう少し続きますので、どうぞ最後までお付き合いください♪ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2013年5月27日 19時
