存在価値 ページ41
それから数日。
検査をたくさん重ねても、どこにも異常が見られなかったドンヘは退院した。
現場に戻って来るとスタッフ達もとても喜んでくれた。
ドンヘに大きな声をかけてくれるペン達も、たくさん行く先々で待ち構えていた。
王子様は笑顔でした。
天使が守りたかったあの優しい笑顔は、失われずに済んだのです。
その代わり、天使は人間界に落とされてしまいました。
それは、毎日王子様を眺める事が出来ると言う事でした。
でも、天使はとても悲しそうな顔ばかりしていました。
帰る場所も行く場所も無くなってしまった天使は、大切な人と幸せに生きて行く王子様を嫌でも見せられる事になってしまったのです。
泉の水面から、追放した天使を毎日見守っていた女神様はため息をつきました。
お付きの天使は言いました。
何も…
追放なさらなくても…
女神様は目を伏せます。
私達は…
使命を果たす為に特別な力を持っています…
それを…
私利私欲の為に使えば…
世界は混乱してしまいます…
あの子には…
それがいけない事だったのだと…
分かって欲しいのです…
そしてこう付け加えました。
人間を愛しても…
天使に待っているのは…
悲しい現実だけなのですから…
Aはトボトボと街を歩いた。
腕を絡める幸せそうなカップルや、会社帰りのサラリーマンやOL。
子供を抱き上げる母親や、大事そうにプレゼントを抱える父親。
みんな…
大切な人の所に帰るんだ…
ふと足が止まる。
大きな街をグルッと見回すように視線を移していく。
立ち止まっているAに思い切りぶつかって行く若い男。
*「邪魔だよ！」
心無い罵声を浴びせられた。
私は…
どこへ行けば…
どうすれば…
涙で視界がぼやけながらまた歩き出す。
誰かの幸せを守ると言う事は、とても辛い事でした。
天使は、痛む胸と、もがれるような痛みの襲う羽根を小さな身体に隠して行くあてもなくさ迷っていました。
知らぬ間に辿りついていたのは大きな公園。
Aはベンチにそっと腰を落とした。
街の喧騒に頭がズキズキして倒れてしまいそうだった。
人一人いない公園で空を見上げると、月が綺麗に世界を照らしていた。
背中がどうしても痛くて、細い腕を肩に添えてうずくまる。
いっそ…
この羽根も…
この命も…
燃え尽きてしまえばいいのに…
存在価値の無くなってしまった天使は、小さな肩を震わせて泣いていました。
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ゆちょみん(プロフ) - 慧さん» ご無沙汰していました！遊びに来て頂いてありがとうございます！ご期待に添えるかどうか分かりませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです^^ (2013年6月1日 0時) (
レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 新作おめでとうございます。今回も楽しませて頂きます！ (2013年5月31日 22時) (レス) id: 35097dfc61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - ミーキーさん» ありがとうございます！たくさん涙腺緩んでください！更新頑張ります！ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
ミーキー(プロフ) - もう、本当に泣きそうです。続きがすごく気になります^^更新頑張って下さい♪ (2013年5月30日 22時) (携帯から) (レス) id: 3a63ee8a7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - はなさん» ありがとうございます！お読み頂いてホントに嬉しいです^^ もう少し続きますので、どうぞ最後までお付き合いください♪ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2013年5月27日 19時
