命をかけるもの ページ31
波打った水面が落ち着いて再び王子様の姿を映し出します。
ギュッと目を閉じていた瞼を天使はゆっくり持ち上げました。
*「誰か轢かれたって…。」
**「嘘…？」
順番待ちをしていたサキ。
カップルの小さな会話に振り返ると、ユイとドンヘの様子を見に店の外に出た。
すると、野次馬の隙間から、地面に座り込んでいるユイを見つける。
慌ててかけよるサキ。
ｻｷ「すいません…ちょっと通して…。」
分厚い野次馬の壁をかき分けて抜けた直後、サキは体中に寒気が走った。
天使は水面に揺れる王子様の姿を見て、泉の淵に手をつきました。
ガードレールに先端をへこませた車の先。
車道で血まみれになって倒れているドンヘ。
ｻｷ「…ドンヘ…？」
車から降りてくる人に声をかけられているドンヘは指先のひとつも動かさない。
救急車を呼ぶ叫び声がこだまする。
サキは本を抱えて座り込んでいるユイに駆け寄る。
ｻｷ「ユイ！」
呆けたまま、ドンヘを見つめているユイ。
ｻｷ「ユイ！！」
サキはユイを強く揺すった。
震えているユイはサキを見上げる。
ﾕｲ「マ…ママ…。」
ｻｷ「何があったの！？」
ユイはサキに抱きついて洋服をギュッと握りしめた。
ﾕｲ「ふうせん…とんでて…ユイが…おいかけたから…ドンヘが…くるまに…。」
断片的な言葉に顔が歪む。
サキはユイをそこに座らせたままドンヘに近づく。
血まみれの体に触れるのが怖くてドンヘに伸ばしている手をギュッと握った。
ｻｷ「ドンヘ……？ドンヘ！！！」
天使の心臓は止まってしまいそうでした。
目を開けない王子様。
王子様の傍で泣いている、王子様の大切な人。
王子様を…
助けなきゃ…
天使は何度も心の中で繰り返します。
泉の淵から手を離すと、女神様の部屋を飛び出しました。
するとそこには、仲間達が立っていました。
仲間達は天使の顔を見て気付きます。
行ってはいけない…
口ぐちにそう言いました。
仲間達の間をかけぬけようとする天使の腕が掴まれます。
天使は歪めた顔で振り返ると仲間達に言いました。
今助けなければ…
いつ助けるのですか…？
と…。
仲間達は言います。
また行ってしまったら…
今度こそ帰ってこれなくなってしまう…
と…。
天使は掴まれた腕を振りほどきました。
心の底から声を振り絞って
王子様を助けられるのなら…
私の命など捨てても構わない…
そう叫んで宮殿を出て行ってしまいました。
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ゆちょみん(プロフ) - 慧さん» ご無沙汰していました！遊びに来て頂いてありがとうございます！ご期待に添えるかどうか分かりませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです^^ (2013年6月1日 0時) (
レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 新作おめでとうございます。今回も楽しませて頂きます！ (2013年5月31日 22時) (レス) id: 35097dfc61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - ミーキーさん» ありがとうございます！たくさん涙腺緩んでください！更新頑張ります！ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
ミーキー(プロフ) - もう、本当に泣きそうです。続きがすごく気になります^^更新頑張って下さい♪ (2013年5月30日 22時) (携帯から) (レス) id: 3a63ee8a7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - はなさん» ありがとうございます！お読み頂いてホントに嬉しいです^^ もう少し続きますので、どうぞ最後までお付き合いください♪ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2013年5月27日 19時
