涙の雨 ページ25
楽しそうな笑い声。
交わし合う幸せそうな視線。
伸ばしたドンヘの手が、サキの手をキュッと握る。
愛しそうな顔でジッと見つめて指を撫でる。
大きな真っ白い羽根を解放して高い場所からその様子を見下ろすA。
泣きだしてしまいそうな顔で目を閉じると、胸を押さえてしゃがみこんだ。
苦しくて、辛くて、その心臓を取り出してしまいたい程痛む胸。
天使は大きな羽根でその体を包み込むようにしてジッと耐えていました。
すると、女神様の使いの天使が一人降り立ちます。
使いの天使は苦しんでいるような姿を見て顔を歪めました。
そして言います。
天界へお戻りなさい…
このままでは…
身を滅ぼしてしまいますよ…
天使は大きな羽根を広げると、使いの天使に言いました。
この気持ちはなんですか…？
王子様のお傍にいたいと願っただけなのに…
どうしてこんなに苦しい想いをするのですか…？
瞳にたくさん溜めた涙が、頬に一粒落ちました。
その夜、サキはドンヘの部屋に泊まった。
ユイのいない解放的な空間は、二人を熱く激しく乱れさせる。
肌を寄り添わせるベッドの中。
心地よい疲れと、愛しいぬくもりが腕の中にあるのに、ドンヘはいつまでも寝付けなかった。
頬をくすぐる寝息。
起こさないようにベッドから抜け出すと、床に落としたシャツを掴んで羽織る。
リビングのカーテンを開けると少し肌寒い風が吹き込んだ。
サンダルを引っかけてベランダに出るドンヘ。
大きすぎるくらいのハッキリとした月が、空から世界を照らす。
ドンヘはそっと手すりを撫でる。
昨日の現実なのか夢なのか分からない出来事…
サキの話…
頭から揺れて落ちて来た羽根と…
窓の下に佇んでいた羽根…
眩しすぎるくらいの空を見上げる。
A…
キミは一体…
誰だったんだ…
穏やかな風がドンヘの髪とシャツを揺らす。
頬からあごを撫でるように吹き抜けた。
サキに言った事は嘘じゃない…
でも…
たった一つだけ言えなかった事がある…
俺は…
キミに居て欲しかった…
疲れた俺の心を…
優しく包んでくれるあの笑顔に…
伸ばした手の中におさまりきらない程の月。
A…
どこへ行ったの…？
どうして何も言わずに…
その夜。
とても綺麗な月夜なのに、小さな雨粒が落ちました。
天使が頬に落とした涙が落ちているようでした。
その雨は、次の日になっても、その次の日になっても降り続けました。
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ゆちょみん(プロフ) - 慧さん» ご無沙汰していました！遊びに来て頂いてありがとうございます！ご期待に添えるかどうか分かりませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです^^ (2013年6月1日 0時) (
レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 新作おめでとうございます。今回も楽しませて頂きます！ (2013年5月31日 22時) (レス) id: 35097dfc61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - ミーキーさん» ありがとうございます！たくさん涙腺緩んでください！更新頑張ります！ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
ミーキー(プロフ) - もう、本当に泣きそうです。続きがすごく気になります^^更新頑張って下さい♪ (2013年5月30日 22時) (携帯から) (レス) id: 3a63ee8a7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - はなさん» ありがとうございます！お読み頂いてホントに嬉しいです^^ もう少し続きますので、どうぞ最後までお付き合いください♪ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2013年5月27日 19時
