女神様の懸念 ページ17
綺麗な月明かりが差し込むリビング。
Aは音を立てないように寝室から出て来た。
床の少しだけ軋む音。
ソファの前に立つ。
ソファに横になって身体を縮めているドンヘ。
穏やかに上下する胸と、小さな寝息。
Aはその寝顔をジッと見下ろしていた。
天界には掟がありました。
それは…
人間に天使だと知られてはならない…
人間を好きになってはならない…
人間の人生に介入してはならない…
他にも色んな決まりがありました。
ドンヘの顔にかかる栗色の柔らかそうな髪。
そっと手を伸ばして払う。
もし二度と…
天界へ帰れなくなったとしても…
王子様の傍にいたい…
初めてなんだもの…
こんなに胸がドキドキするのは…
こんなに…
胸が痛いなんて事は…
床に座り込んだ。
天界の女神様の部屋では、小さな泉の水面が揺れていました。
天使の事を見守っていた女神様は、他の天使達に言いました。
あの子を…
天界へ連れ戻しなさい…
天使達は顔を見合せます。
今連れて戻らなければ…
きっと失ってしまう…
天使の中で一番美しい羽根も…
天使である事も…
そして…
その命も…
Aはソファにそっと顔を寄せる。
隙間に頭を乗せてドンヘの寝顔を見つめていた。
瞬きをする度に瞼が少しずつ重たくなる。
月明かりの綺麗な静かなリビングで、Aもいつの間にかドンヘの傍で寝息を立てた。
朝…。
狭いソファの上で寝返るドンヘ。
その腕に何かがぶつかる感触がして目を開ける。
大きなあくびをして身体を起こすと、小さな隙間に頭を乗せて眠っているA。
おやすみと言って寝室の扉を閉めたはずなのに、冷たい床に座ってドンヘに寄り添うように寝息を立てていた。
起こさないようにソファに座り直すと、小さな頭をそっと撫でた。
DH「風邪ひいたらどうするんだよ…。」
ポツリと呟く。
自分の使っていたタオルケットを細い肩にかけた。
なんだろうな…
この心の中に湧く想いは…
Aの事なんか何も知らないのに…
たった二晩の事なのに…
もう随分長い事一緒にいる気がするんだ…
ドンヘはAをゆっくり抱きかかえる。
相変わらず軽すぎるくらいの身体。
開きっぱなしの扉から寝室に入ると、抜け出したような跡の残るベッドに下ろす。
傍らに寄り添って横になると、小さな身体をそっと抱き寄せてもう一度瞼を落とした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆちょみん(プロフ) - 慧さん» ご無沙汰していました！遊びに来て頂いてありがとうございます！ご期待に添えるかどうか分かりませんが、楽しんでもらえたら嬉しいです^^ (2013年6月1日 0時) (
レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
慧(プロフ) - 新作おめでとうございます。今回も楽しませて頂きます！ (2013年5月31日 22時) (レス) id: 35097dfc61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - ミーキーさん» ありがとうございます！たくさん涙腺緩んでください！更新頑張ります！ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
ミーキー(プロフ) - もう、本当に泣きそうです。続きがすごく気になります^^更新頑張って下さい♪ (2013年5月30日 22時) (携帯から) (レス) id: 3a63ee8a7f (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - はなさん» ありがとうございます！お読み頂いてホントに嬉しいです^^ もう少し続きますので、どうぞ最後までお付き合いください♪ (2013年5月30日 22時) (レス) id: dc9a7e9a2f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming/
作成日時：2013年5月27日 19時
