空の病室 ページ40
肩から落ちたストールもそのままに、Aはふらつく足取りで病室を出る。
病室の奥の非常階段をゆっくり登って、屋上に上がった。
体を震えあがらせる程の冷たい風が吹き抜ける。
さっきまでとても暖かかった日差しは雲に随分覆われていた。
開きっぱなしの病室を覗くドンヘ。
無造作に床に落ちたままのストールを拾う。
DH「A〜？」
姿の見えないAを呼んで、ベッドに触れる。
少しだけ温かくて、座っていただろう事がうかがえた。
ドンヘは病室を出て辺りを見渡す。
近くを歩いて探してみても、やっぱり見つからない。
病室に一度戻ってまた中を覗く。
やっぱり空っぽのまま、開いた窓から冷たい風が入ってきた。
A…どこ行った…
ドンヘは小さな胸騒ぎを覚えて、通り過ぎる看護師を呼びとめる。
DH「すいません、どこに行ったか知りませんか？」
ドンヘはそう言ってAの病室を指で示す。
看護師は笑って
さっき非常階段の方に行ったから屋上じゃない？
と答えた。
ドンヘはお礼を言って非常階段を駆け上がって行った。
Aは分厚い壁際まで歩く。
髪を揺らす風が冷たく首筋を撫でた。
私がいると…ドンヘが悲しむ…
きっと…
いつか…
サランにも…
不幸が訪れて…
みんな…泣いてしまう…
Aは壁際を伝うように歩いて置いてあるベンチを足場にして、壁の上に登る。
街が見下ろせる絶景を目の当たりにして、風は更に強く吹いているような気がした。
私と…ドンヘの…
ごめんね…
私のせいで…
ドンヘが…あなたに…
どれだけ会いたかったか…
Aはお腹をさすって涙をたくさんこぼす
強く吹く風が涙をも散らしてしまう。
Aは目の前に広がる街並みを見下ろす。
A「…ママも…そっちに…。」
ひとりぼっちにしないからね…
儚げな微笑みを浮かべて足を前に出した。
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かなりん(プロフ) - 更新ありがとうございます。とても綺麗な文章で、引き込まれますぅ！どうか家族に平和な時間が訪れますように！更新待ってます！ (2011年8月30日 15時) (
レス) id: 4f4f5aea3f (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - )みなさん！ こんなにたくさんのコメント本当に感動です(泣)続き頑張りますので、是非最後まで読んでやって下さい！みなさんのコメントとても励みにしています！！ (2011年8月30日 14時) (レス) id: 0cebb6428e (このIDを非表示/違反報告)
あきに‐★ - はじめまして!!めっちゃ最高です★更新まってます！ (2011年8月30日 0時) (レス) id: 37574a400d (このIDを非表示/違反報告)
せぶん - はじめまして、この小説最高すぎます。お世辞抜きに天才ですね・・・！ (2011年8月29日 23時) (レス) id: 39548917bc (このIDを非表示/違反報告)
かほ - 初感想を書かせていただきます(^▽^)この小説、最高です！！ｷｭﾝときたりﾄﾞｷﾄﾞｷしたり読んでいて楽しいです。1日に結構更新してますよね、凄いです！無理はしないでくださいね。これからも楽しみにしています(*^^*) (2011年8月29日 23時) (携帯から) (レス) id: 3d8d39a67d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作成日時：2011年8月28日 21時
