小さな命 ページ50
ドンヘは飛行機の中で恐怖と闘っていた。
どっちも…失いたくない…。
マネージャーにチャンミンに貰った病院の住所の紙切れを渡す。
病院に着いた頃には夜9時を回っていた。
看護師に案内されたのはオペ室の前だった。
前の長椅子にはAの両親が疲れた顔で座っていた。
マネージャーはドンヘの顔を見る。
ドンヘは頷いて声をかけた。
DH『こんばんわ。』
Aの母は立ちあがって涙を浮かべて頭を下げた。
マネージャーが日本語で今の状況を聞く。
陣痛がうまく波に乗れなくて、誘発剤を使ったら心臓に負担がいって
意識が無いという話だった。
切れた息が整わないまま、立ちつくすドンヘ。
泣きだしてしまいそうな母の手を握ってつたない日本語で
DH「だいじょうぶ…」
と微笑んだ。
どれくらい時間が経っただろう…。
言葉も交わさずただ座っているだけ。
疲れた顔で長椅子にもたれるドンヘは、ずっと母の手を握っていた。
暫くして
オペ室から慌ただしく人が入れ替わり立ち替わりする。
母は立ちあがって看護師の手を掴む
*「何か…あったんですか…？」
看護師は辛そうな顔をして
母体が危険です
とだけ言って走り去ってしまった。
本当は…泣いてしまいたかったんだ…
人目も気にせず…
怖くて…怖くて…
今すぐ飛び込んで言って名前を呼びたかった…
俺が来た事が分かれば…
きっと…
喜んでくれると…そう思った。
たまりかねて席を外すドンヘ。
近くの通用口から外に出て、深呼吸する。
A…
俺…子供の名前を考えてたんだ
きっと…気に入ってくれると思うんだよ…
Aに聞かせたいから…
二人で決めたいから…
どうか…
ドンヘは声を押し殺して小さく泣いた。
心に溢れる不安が
ただ何も出来ずに流れるだけの時間が
耐えられなかった。
ドンヘが再び戻ってくると、オペ室の扉が開いた。
中から術衣に身を包んだ女の人が出てきてドンヘたちに近寄ってくる。
マスクを外して微笑む。
“女の子でしたよ”
そう言って小さな小さな命を見せてくれた。
震えるドンヘの腕にそっと乗せてくれる。
軽くて…小さくて…弱々しい存在。
ドンヘは涙が止まらなかった。
ラッキーアイテム
革ベルト
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ゆちょみん(プロフ) - >みんさん、まとめてのお返事お許しください。いつもご愛読頂き感謝です。もうすぐ終わります。泣かないでください〜。書いてる本人も泣いてますがｗｗｗ (2011年6月26日 20時) (
レス) id: 0a236b0646 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - ゆちょみんさんの作品は、毎回涙なしには読めないです(T_T) ドンヘと私、どうなるんでしょうか....。 (2011年6月26日 16時) (携帯から) (レス) id: 21ddfc49d1 (このIDを非表示/違反報告)
かなりん(プロフ) - えっ、幸せから又波乱の展開がぁ・・・早くドンヘの胸に飛び込みたいよぉ・・・ (2011年6月26日 11時) (レス) id: dfa8b3f127 (このIDを非表示/違反報告)
Aya(プロフ) - 本当にこの二人はくっついたり離れたりでハラハラです;;;せっかく手術は成功したけど心配かけてしまった親を捨てて簡単に一緒になることは難しいですよね・・・ (2011年6月25日 1時) (携帯から) (レス) id: 6f0c163436 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作成日時：2011年6月25日 2時
