あなたの音に【中村悠一】

とある休日-6 ページ40

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「なかむら、さん…」

右腕を掴まれ、見上げる先には
怒り顔の中村さん。

左肩を支えられ、
組み敷いてるのは神谷さん。

「いいから。早く立てって」

ぐいっ。と右肩を引っ張られ
中村さんに引き寄せられ頬を思いっきり
引っ張られた。

「…い、たい、」

そう言って見上げた先に
あいも変わらない怒り顔に

「っんの！ばか！」


怒鳴られた…。





「だからだ！」


「なにが！？」

「周りにお前と付き合ってるの言わない理由だよ！」

「だから！なにが！」

頬を引っ張られたまま、
言い合う私たちに唖然の先輩たちを
置いてけぼりにして
目からは大粒の涙が流れてた。


眉間にたくさん皺を寄せた中村さんに
泣いてることを認めたくないから
睨み返すだけで
頬はじんじん痛くて、ただただ辛い。

「そういうところだよ！」

再度「だから、なにがだ」と、言い返そうと
口を開きかけたとき、

唇に再び違和感が降りかかった。

チュ、

綺麗なリップ音に
思いっきり引っ張られた頬が痛い。

「っ！いっ…たい！！！」


「そういうところだ！ばか！
お前が我慢して我慢して！弱いところも見せないで
泣いてることも認めようとしないくらい頑固だからだ！」

ほぼ、怒鳴り声で

「それに！隙がありすぎるから神谷さんにキスされるんだろうが！！俺ともしてなかったんだぞ！？」


理解するまでに時間がかかった。

でも、パンッてなにかが弾ける音がして
涙が止まらなくなった。



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