あなたの音に【中村悠一】

「ばか！」 ページ28

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しばらくぎゅうぎゅう2人でじゃれていると
また『コンコン』とノックがなり
急いで離れた。

「はいっ」

「毛利です。池田さんはそろそろ時間ですよー」

「はいっ！ありがとうございます」

「中村さんも、杉田さんが待ってます」

「あー、ありがとう」

マネージャーの毛利さんの声に
声には出さず『あーあー』と2人で目を合わせ
残念な顔をする…
いたずらがバレた子どもみたいな彼の顔に
きゅんとしたのは内緒。

「行かないとな、箱のコーナーだ」

「んっ！出たい」

「ダメだ」

「ですよねぇ」

今から仕事なんて付いてない
仕事がなかったら3人でご飯に行けたのに。

ふと目線を感じ彼に視線を戻すと
そんな私に気づいたのか

「そんな目すんな、終わったら電話しろよ？」


そう言っておでこにキスしてくれた。

ずるい。
さっきまで子どもみたいな顔してたのに
いきなり…

「何様なの？」

「あ？彼氏様だよ」

「そうだよねぇ」

そう言ってまた両手を広げた

「ぎゅーして」

「しゃーねぇな、こいっ」

大好きな彼の胸に飛び込む
幸せな時間…


「ん゛ん゛ん゛ーー‼」

「こらこらこら」

彼の首に疼くめていた顔を上げ


「じゃぁ、行ってくるね」

「おっ…」

彼の返事を遮り頬にキスをした
してやったり顔

「おいっ！」

「やり返しですよ」

パタパタと扉の方まで走り逃げた
時計を見ると次の現場まで時間ギリギリ
次は可愛い後輩たちと収録〜

「Aっ」

可愛い後輩たちを想い、ウキウキしながら
扉に手をかけると不意に名前を呼ばれた

「ん？」

「いってらっしゃい」

…

…


やっぱりずるい
いつまで経ってもかっこよくて
ほんと、…

…

「ばか！」

扉を勢いよく開けて閉めた

ほんとに、敵わない。


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