温かい人 ページ44
私が誰と話していようとチャンミンくんには全く関係ないし、なんなら微塵も興味ないだろうけれど。
冷たい空気に混じって、勝手に意識して、勝手に背中に視線を感じているせいで、全然話に集中できない。
『──で、丁度その時に連絡があって……Aさん?聞こえてる?』
「…………」
『もしもし?』
「あ、はい!聞こえています!」
『あ〜…、ごめんなさい、長電話になってしまって。それじゃあ、また連絡しますね』
私を気遣うように、話を終えようとしたユノさんの声で、やっと我に返った。
……違う。間違えた。
私が今気にしなきゃいけないのは、大切にしなきゃいけないのは、チャンミンくんじゃなくて、ユノさんだ。
「あ、あの、ユノさん!」
咄嗟の呼び掛けに、『え、はい』ユノさんの声がまた近くなった。
「ごめんなさい、実は今まだ外にいて……」
『ああ、そうだったんですね。いや、こちらこそ忙しい時にごめんね?』
「いえ、あの、次はいつ会えますか?」
『え?あ、僕の方はいつでも……』
「じゃあ、明日はどうですか?明日は会えませんか?」
そう言ったら、少しの沈黙の後ユノさんの小さく笑う声が聞こえて来て。
「……ユノさん?」
『あ、ごめん。実は僕も、明日会えないかなって誘うつもりで電話したんです』
「え?あ、そうだったんですか?」
『うん。だからAさんからそう言って貰えて、めちゃくちゃ嬉しいです』
恥ずかしそうに笑うユノさんの声。
……ホワホワ。やっぱり心がくすぐったくなる。
『待ち合わせ場所は、今日と同じ所で大丈夫ですか?』
「はい!大丈夫です」
『じゃあ、また明日』
そう言って切れた電話。
ふぅ……っと、息を整えて。
スマホをバッグに戻して……覚悟を決めて振り返った。
その途端、私が振り返るのを待っていたように重なった視線。
チャンミンくんのその瞳に、ドクン、と胸が鳴った。
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ユチコ(プロフ) - ひよさん» ひよさん。嬉しいコメントありがとうございます〜!続きが気になると言ってもらえて気持ちが上がりました!頑張ります☆ありがとうございます! (2022年6月27日 13時) (レス) id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ユチコさん、こちらの作品に今日初めてたどり着いて楽しいやらキュンとしたりでいっきに読んでしまいました♡めっちゃ続きが気になります〰!でもユチコさんが楽しんで書けるペースで更新して頂けたら嬉しいです。楽しみが1つ増えました♪ありがとうございます! (2022年6月25日 18時) (レス) id: 0cf98dcfca (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - ショコラさん» ショコラさん。読んでくださりありがとうございます!出来る限りペースで更新していきますので、また読んでやってくださいm(_ _)m (2022年6月10日 12時) (レス) @page13 id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - ユチコさん、更新ありがとうございます!続き気になってたので嬉しいです♪ (2022年6月9日 23時) (レス) id: 35f5f32be3 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - すぐりさん» すぐりさん。更新がストップしててごめんなさい(ó﹏ò。)少しでも楽しんで貰えるように、この先のお話も頑張ります! (2022年6月9日 9時) (レス) id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2020年11月22日 21時