*･ﾟ*･ﾟアイドル好きで何が悪い*･ﾟ*･ﾟ

美味しいカクテル ページ36

藤木さんと電話を終え、ご機嫌な表情で戻って来たアカリが、「誕生日だしもう少し飲んで帰ろう」と言ってくれたので、いつものお気に入りのBARへ寄り道。


ドアを開けて、お店に入るなりグルリと店内を見渡した。


……まぁ、今日は土曜日だし。
週末は、カフェも忙しいだろうからいないだろうとは思うけれど。
前に一度、ここで会ったことがあるから一応警戒。


……うん、大丈夫。



｢どうしたの？A｣

｢あ、ううん。何でもない｣


定位置であるカウンターに座って、いつものカクテルを頼んだ。


｢……あぁ、美味しい。やっぱりマスターの作ってくれるこのカクテルが一番好き｣

｢ありがとうございます｣


私たちと、差程歳が変わらないであろうイケメンのマスターが、ニコッと笑顔を向けてくれる。


私がこのBARを気に入っている理由のひとつは、ズバリ、このイケメンマスターだ。


｢アカリさんもAさんも久しぶりですね。最近来てくれなかったから寂しかったですよ｣

｢ごめんね、マスター。あたしもAも、ちょっと忙しくなっちゃって｣

｢ね？｣ってアカリに微笑まれて、うんって私も笑顔になる。



｢どうしたんですか？何か良いことでもあったんですか？｣

マスターに聞かれて｢ふふ、まぁね｣なんてアカリがはぐらかして。



……あぁ、こんな日が来るなんて。


数ヶ月前までは、美容と仕事と上司の愚痴。後は、推しの話しかしていなかったのに、今は充実したリアルな話が出来る。

ニコニコする私たちを見たマスターが微笑んで。


｢何だか幸せそうですね。今日はゆっくり飲んで行って下さいね｣と、カクテルを1杯ずつサービスしてくれた。


｢わぁ、マスター、ありがとう｣


嬉しい。

これこそ、幸せの連鎖だ。

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