ダメ元 ページ23
現実の厳しさをしっかり把握したつもりだったけれど。
いざ、カップリングの投票になると、グラグラと決心が揺らいだ。
「A、誰に決めたの?」
投票用紙を前に悶々としていたら、隣に来たアカリが私の手元を覗き込んだ。
「あら。まだ書いてなかったの?」
「……困った」
「何でよ。フリータイムで長いこと話してた細マッチョさんに決めたんじゃないの?」
うん、そうだよね。
私もさっきまでは、私に好意的に接してくれた彼に投票するのが一番いいって思っていたんだけれど。
「……やっぱり無理かも」
「何が?」
「彼との未来が描けない……」
「どういうこと?」
顔を顰めるアカリを見ながら、だって!と心の中で言い訳をする。
こんな事、絶対口に出したらダメだってわかっているけれど。
あの細マッチョさん。
全然私のタイプじゃないんだもの……。
顔から入るなんて……とか、顔しか見てないの?とか、今までも散々言われてきたけれど。
もういい。開き直っちゃう。
私はイケメンが好きなの!イケメンに惹かれちゃうの!
「やっぱり私、ユノさんに投票する」
直前までアカリには「バカね」と言われたけれど、仕方ない。
だって、ここで違う人の名前を書いて仮にカップリングが成功しても、嬉しくないんじゃ意味が無いもの。
ユノさんとカップリング出来る可能性がゼロだとしても、折角婚活パーティーに参加したんだから、後で後悔することだけは避けたいから。
『それでは、お名前を呼ばれた方は、前の方に来てくださ〜い!』
浮かれる様な音楽と共に、名前を呼ばれた人たちが、カップリングを成功させて笑顔を見せる。
5番目に呼ばれたのは、アカリだった。
あぁ、彼が藤木さんか。全然覚えていなかったけれど、意外とカッコイイ人だ。
幸せそうに微笑んで、藤木さんと手を繋ぎカーテンの向こうへと消えて行ったアカリ。
良かったね!とアカリに目配せをして、私もドキドキと結果を待った。
だけど。
現実は、どう足掻いても現実で。
『それでは、最後の一組です!』
当たり前のように、私の名前は呼ばれなかった。
だけど。
すごく意外だったけれど。
イケメンアイドル、ユノさんも、名前を呼ばれることは無かった。
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ユチコ(プロフ) - ひよさん» ひよさん。嬉しいコメントありがとうございます〜!続きが気になると言ってもらえて気持ちが上がりました!頑張ります☆ありがとうございます! (2022年6月27日 13時) (レス) id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ユチコさん、こちらの作品に今日初めてたどり着いて楽しいやらキュンとしたりでいっきに読んでしまいました♡めっちゃ続きが気になります〰!でもユチコさんが楽しんで書けるペースで更新して頂けたら嬉しいです。楽しみが1つ増えました♪ありがとうございます! (2022年6月25日 18時) (レス) id: 0cf98dcfca (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - ショコラさん» ショコラさん。読んでくださりありがとうございます!出来る限りペースで更新していきますので、また読んでやってくださいm(_ _)m (2022年6月10日 12時) (レス) @page13 id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - ユチコさん、更新ありがとうございます!続き気になってたので嬉しいです♪ (2022年6月9日 23時) (レス) id: 35f5f32be3 (このIDを非表示/違反報告)
ユチコ(プロフ) - すぐりさん» すぐりさん。更新がストップしててごめんなさい(ó﹏ò。)少しでも楽しんで貰えるように、この先のお話も頑張ります! (2022年6月9日 9時) (レス) id: 9e2d27727e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユチコ | 作成日時:2020年11月22日 21時