*･ﾟ*･ﾟアイドル好きで何が悪い*･ﾟ*･ﾟ

アイドル好き ページ1

ミーハーである母の影響を多大に受けて育った私は、幼い頃から『アイドル』が大好きだった。

テレビの中で歌い踊るキラキラした彼らを見ているだけで心が踊ったし、テレビの画面越しに見つめられるだけで興奮し、胸が高鳴った。

学生時代は、色んなアイドルのファンクラブに入ってはライブへと出向き、青春を謳歌してきた。

そんな生活を続けていたらあっという間に時は過ぎ、気付けば、旦那なし、彼氏なしの立派なアラサーに。


……よって。



｢A。来月末の婚活パーティー、一緒に参加するよ｣

秋の木漏れ日が気持ち良い休日に。
比較的若いお客さんが多いお洒落なカフェで。
20年来の親友アカリから、現実味を帯びた話を持ちかけられた。


｢あれ？お誘いじゃなくて決定？｣

｢うん。もう申し込んだし｣

｢何それ。アカリさん、何かありました？｣

｢何も無いから申し込んだの。A、分かってる？私たちもうすぐ33よ？｣


綺麗な脚を組み替えるアカリは、外資系企業に務めるファイナンシャル・プランナー。
容姿、性格共に申し分無いのに、華々しいキャリアがネックなのか、悲しくも、小さな印刷会社の事務をしている私と同じ独身組。



｢分かってはいる。でも婚活パーティーってまた安易な…｣

｢何よ。他に出会いでもあるって言うの？｣

｢いや、無いけれども｣

｢そうでしょう？先週、リカから2人目が生まれたってLINEが来たわよね？もう独身組の仲間も私たちだけになったわよね？いい加減、現実に目を向けなきゃ。アイドルなんて以ての外！｣

｢ちょっと、アイドルを否定しないでよ。彼らから私がどれだけ活力と癒しを貰っていると、｣

｢うるさい！バーチャルじゃなくて、リアル彼氏に癒されなさい！｣

｢バ、バーチャルって……｣



ひ、酷い。

だけど。


｢とにかく！婚活パーティーに行くからね！｣

｢は、はい…｣

悲しいかな、何ひとつ言い返せない。

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