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俺のついた嘘 (Ｃ) ページ3
残された携帯の中には何も残されていなかった
写真もメールも消されていた
彼女はこうなる事を察していたんだ
だから俺と自分の思い出の全てを消した…
もう二度と会わないつもりでここに来たんだ…
ただ必死で彼女の痕跡を探し続けた
そして送信メールの保存ボックスに残された1通のメールを見つけ出した
宛先欄は空欄…
タイトルなし…
保存日は昨夜…
『あなたとの未来を夢見た
だけどあなたの未来を壊す勇気はない』
俺に宛てたものなのかさえ今では分からないそのメールが心を捉えて放さない
なかなか本音を見せない彼女の本音…
暗くなった携帯の画面に映る自分が泣いていると気付いた時後悔で胸が押しつぶされそうになった
俺は彼女の本名さえ知らない
彼女自身でさえそれが分からない…
自分自身が何者かさえ分からない彼女を俺は捨てたんだ…
違う…自分から別れを告げる事が出来ず彼女に別れの言葉を言わせてしまったんだ…
日本に来る度に彼女と過ごした
彼女は記憶の全てを失くしていた
自分が何者なのかさえ分からず苦しむ彼女とは日本で出会った
その時彼女に一目ぼれした俺は嘘をついた
「君の名前はA
俺の彼女だよ…」
そう告げると彼女は嬉しそうに微笑み俺のそばを離れようとしなかった
いつ記憶が戻るか分からない彼女の恋人となった俺はその事で苦しむこととなった
でもそれ以上に幸せだった…
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作者名：yuchayuyu | 作成日時：2017年3月21日 6時
