9 sakuma ページ11
肝心な当日に限って、翔太はジムから行くのにタクシーが捕まらないから遅れる〜なんて呑気な電話を寄越してきて、一人で普段行かないような小洒落たバーに向かう。
なんか緊張すんじゃんか〜！！と思いながら、Aに会うことを想定して少し俺なりにオシャレしてきた服を整えて、バーの扉を開けた。
「あ…」
なかなか広いバーで結構な人が居るにも関わらず、Aのことはすぐに分かるもんだな。
「…A？Aじゃんね！」
我慢できずに声をかけた俺の声に振り向いたAは、昔と変わらずめちゃくちゃ可愛かった。
昔と違うことと言えば、最後に会った時より、綺麗になって色っぽくなって、男の匂いを感じさせたことぐらいで。
俺の懐かしい初恋の気持ちが、ふわっと揺れたことは自分でもすぐに分かった。
見ただけで、こんなにも心臓が震える。
そんな俺と裏腹に、Aは綺麗な瞳を震わせて、驚きのあまり口元を手で覆いながら「え…」と小さく声を漏らしている。
表情は心なしか暗い。
さらに、男といると思っていたのに、一人だ。
余計なことは聞かないで、「俺、覚えてる？大介！」と言いながら隣に腰をかければ、「覚えてるよ」と小さく掠れた声で答えてくれた。
まだ信じられないという様子で、俺の顔をまじまじと見るAから、慌てて顔を逸らす。
…どうしよう、めちゃくちゃ可愛い。酔っ払ってる。目がウルウルしてる。
こんな可愛い顔で不倫してるとか、それはそれで萌えるじゃんか！！
って考えてる俺はバカ。
「中学生以来？」
そんな俺を見兼ねたようにAは口を開いて、それに慌てて俺も反応する。
「そーかも！挨拶とかはしてたけど、こうやって話すのはまじで中学以来とかだよね」
「だよね。元気そうで良かった」
「まーじ元気だよ俺。」
「そうだ。デビュー、してたね。おめでとう」
未だ元気は無さそうだけど、少しだけ微笑んでAは俺にそう言ってくれて。
あぁ、知ってくれてたんだ。嬉しい。頑張って良かった。
って、それだけで今までの努力が報われた気がして。
「知ってくれてたのか！ありがとー。やっとよ。俺もう29だし」
「でも、入所した時からずっと一緒にやってた子たちとデビューしたよね？」
「そう！よく覚えてんね！？」
遠い昔に俺がした話もしっかり覚えてくれていて、「良かったね、本当に」と小さく声を漏らして俺を見るAは、俺の目には昔と何も変わらないAのままであるように見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1428人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
minmin(プロフ) - 花子さん» 毎度コメントありがとうございます！喜んでいただけて嬉しいです！ (2022年3月19日 0時) (
レス) @page43 id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
花子 - うわあああ(TT)♡♡♡もう今回ばかりはこの興奮を文字に表せません。いつも語彙が壊滅的ではありますが(笑)兎に角最っ高です(TT)♡ (2022年3月18日 20時) (レス) @page42 id: 6a4a78fe0e (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - 花子さん» 男らしい部分とのギャップ感じていただけで嬉しいです！ (2022年3月18日 16時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
花子 - 半袖姿を想像してにグッ。ときちゃいました(^^)♡この３ヶ月がどんな３ヶ月になるのか考えただけでドッキドキです！更新有り難うございます♡ (2022年3月17日 20時) (レス) @page40 id: 6a4a78fe0e (このIDを非表示/違反報告)
minmin(プロフ) - 花子さん» LINEはこだわって書いてるので嬉しいです^_^ (2022年3月17日 10時) (レス) id: 1eb423545c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：minmin
| 作成日時：2022年2月26日 1時
