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(エースSide)11話後
「…生まれてきてくれてありがとう」
鮮明に思い出す、悲しげな声で言われた言葉。
それまでずっと欲しかった言葉。
数日前、俺はジジイに言ったことがある。
”俺は…うまれてきてもよかったのかな?”
ずっとそれが気になってた…
俺は生まれてきてもよかったのか…存在してもよかったのか…
自問自答を繰り返すたびわからなくなってきて、誰かに聞けばいいと思った
だから、兄貴にずっと行くなといわれていた町に行った
でも、やっぱり返ってくるのは想像した通りの言葉で、別に期待していたわけではないにしても、絶望と怒りの感情は簡単に湧いてきた
その日、兄貴は遠出をしていて不在だった
そのためか、寂しさのあまりちょうど来ていたジジイに話してしまった…
ジジイは生きて見ればわかるといっていたけど、俺にはさっぱりわからなかった。
生きてみても認められなかったら?
受け入れられなかったら?
そんな思いがずっと心の中を埋めつくしていて、その日は落ち着かず寝れなかった…
次の日、兄貴が帰ってきて、いたたまれず抱きついた。
そして、兄貴にも聞きたかったこといった。
怖かった…ただそれだけ
俺にはもう兄貴しかいないのに、その兄貴にも突き放されたらどうしようって
でも、兄貴は凄く悲しい顔をして、俺を抱きしめてくれた
最初は何が起きているかわからなかったけど、久しぶりの温もりに安堵して力が抜けた
されるがままで、耳だけを傾けていると、兄貴は思っている事をいってくれた
そのどれもが俺の心にストンと落ちていく。暖かい、言葉。
最後に一息入れて兄貴が呟いた。
「…”生まれてきてくれてありがとう”」
頭が真っ白になった…
今、なんて言ったんだ?…生まれてきても…よかったって?
ずっと、ずっと俺の欲しかった言葉をいってくれた。
兄貴はもう一度ぎゅっと強く、されど優しく抱きしめてくれた。
他の人からすれば簡単に言える言葉だけれど、俺にとっても、兄貴にとっても、”その言葉”はとても重く、言うか言われるかで、人生が変わるかもしれないほどの大事な言葉だった…
それでも兄貴は言ってくれた…この俺に…
”生まれてきてくれてありがとう”って…
ただただ嬉しかった…
そして、俺はおもったんだ…
兄貴の弟でよかったって、生きててもいいんだって、少しだけ生についての気持ちが軽くなった気がした
「兄貴、俺はあんたのために生きるよ…」
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柳 - えっ、、、好きです(突然の告白)台詞が一つ一つ綺麗すぎる、、、 (2020年7月24日 16時) (レス) id: c9022a3381 (このIDを非表示/違反報告)
Aceyu(プロフ) - 更新遅くなって申し訳ございません!!ヾ(・ω・`;)ノこれからも早めに更新出来るよう頑張りますぅう!! (2018年10月14日 20時) (レス) id: de2aaf2ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきち - 更新お願いします。 (2018年10月13日 10時) (レス) id: 4c123f987b (このIDを非表示/違反報告)
Aceyu(プロフ) - リコさんコメントありがとうございますぅぅぅうう!!感謝感激です!これからも頑張って更新させていただきます!呼んで下さると嬉しいです!! (2018年7月20日 14時) (レス) id: de2aaf2ee2 (このIDを非表示/違反報告)
リコ(プロフ) - ヤベェ…面白すぎる!これからも更新頑張って下さい!応援しています( *・ω・)ノ (2018年7月19日 14時) (レス) id: 99beb34d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Aceyu | 作成日時:2018年4月4日 1時