関西のあの子

＊ ページ25

恭平side



顔の横に長尾の手が伸びてきて背もたれを叩く。


バンっという音がして口から小さな悲鳴が漏れる。
長尾のこんなに怖い顔見たことない。

胸の前で小さく手を組んで楽しいはずだった休日が戻ってくるように祈る。
違う人みたいな長尾を見たくなくて、固く目を閉じる。


(ながお...！なんで、そんなにおこってんの？)



(______わからへんよ...っ！)









長尾｢僕の方見てくださいよ...っ｣


長尾が俺の顔を手でガシリと掴む。

鼻から下を片手で強く掴まれ、頬骨が痛い。

長尾が、怖くて、息が上手くできない。


肘を折って近づいてきておでことおでこをくっつける。





｢恭平くんは俺のもんやって言いましたよね？｣



｢ちゃんとわかってなかったみたいやなあ｣




｢今からしっかり教育してあげますね？｣




長尾のこと好きなはずなのに、どうしようもなく怖くて、恐ろしくて、腰が抜けてさらにソファに深く沈み込む。



｢...ぁ、｣


長尾が乱暴に俺の顎を掴み上を向かせ、噛み付くようなキスをする。
耐えきれずに涙がボロボロと溢れてくる。



こわいよ、けんと、



｢ぅ...ふっ、......っ、は、｣


とめどなく流れてくる涙をを止めることが出来ない。
息が上手く出来なくて、離して欲しいけれど、体が動かない。
キスが長すぎて意識が飛びそうになる。


｢ん、っ.....けんと、、ふぇっ...｣



どうにかして元の長尾に戻って欲しくて必死に名前を呼ぶ。
気持ちが伝わればと思い長尾の服をくしゃりと掴む。


(けんと、こんなきすは、したくないよ、)

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