魔法の有効期限 1 ページ37
『パパーー!早く!!』
シウの願いを聞き入れ、最初で最後の親子としての遊園地にやって来た。
あれから特にぎこちなさもなく俺のことを”パパ”と呼ぶシウ。
俺もそれに慣れつつあった。
けど、それもあと数時間の話。
一緒にお化け屋敷に入ったり、ジェットコースターに乗ったり、アイスを食べたり。
はたからみたら若い親子だろう。
「お腹いっぱい?」
『うん!』
満足そうな表情をして笑うシウの顔に手放したくない感情だけがどんどん膨れ上がっていく。
本当はあのときそう思わなきゃいけなかったんだ。
離婚届を置いて行かれたあの日に。
親権を俺に...そう思わなきゃいけなかった。
そう思えば...ジウォンは一人でシウと過ごして仕事も始めたんだって思うと何とも言えない気持ちになった。
別に互いが嫌いで別れたわけではない。
ただ”冷めた”。
恋する魔法ってよく少女漫画とか女性歌手の歌詞にありそうな...そんな感じの魔法にかかっていたんだろう。
ただそれが解けただけなんだ。
今もこうして魔法がかかったように、あとわずかな時間をシウと過ごす。
かけているときは美しくて、綺麗で楽しい。
解ける瞬間は世界はセピア色になるし、なんとなくつまらない。
それが...現実だ。
『パパ...好きな人どんな人?』
シウとコーラを飲んでいた時だった。
「え?」
『こないだ言ってたじゃん!』
「あー...そうだねぇ...かわいい」
『かわいい?じゃあ、僕の好きな人と同じだ』
「シウも好きな人いるの?」
そういうとストローを咥えたままコクンと頷いた。
「どんな人?」
『んーーーママみたにな人!!』
「あっは!じゃあ綺麗な人だ」
『ママは綺麗じゃないよ?(笑)』
へへって笑いながらシウは言う。
「なんで?」
『ママは僕がいないとダメだし、ウヌ君と喧嘩しても僕がいるから毎日元気だもん。化粧してないとただのおばさんだし(笑)でも、そんなママが好き』
そういわれると思い浮かぶのはなぜかAちゃんだった。
俺がいないと眠れない時間を過ごすんじゃないか、とか。仕事で嫌な事あったら一人で抱えこんでるんじゃないかっていう。化粧していないと子供みたい。
「そっか...」
トンっと椅子から降りてシウが俺を見た。
『パパ...ママの事は任せてね。だからパパは新しい好きな人大事にして』
時計は夕方5時。
シウといる魔法の時間はもうすぐ解ける時間が迫っている。
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このみ - すごく面白かったです!最近モンエクペンになったのですが、もっと好きになりました!更新お疲れさまでした!これからも頑張ってください!! (2017年11月12日 11時) (レス) id: 0ab0aad734 (このIDを非表示/違反報告)
おん - 感動をありがとうございましたすっごく面白かったです (2017年9月25日 9時) (レス) id: 7121d0579b (このIDを非表示/違反報告)
まなな - すごく良かったです(泣)すこし自分と重なる部分あったので、共感しぱなしです!!また、違う作品楽しみにしてます(σ≧▽≦)σ (2017年9月23日 11時) (レス) id: 000918fc8e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - あおんさん» こんばんは!モンエク好きになりはじめたばかりだなんて!嬉しいです!モンエク是非もっと好きになってください( ; ; )私なんか好きになりすぎて妄想ヲタクになっちゃいましたから!(笑) (2017年9月23日 0時) (レス) id: 8f19cb71fd (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - めばえさん» こんばんは!嬉しいコメントありがとうございます!blue moon自体お店の名前が思いつかなくてもねくの曲から選んだんですが、結果マッチしていてよかったです☆あと、お褒めの言葉勿体無いことばかりで( ; ; )ありがとうございます! (2017年9月23日 0時) (レス) id: 8f19cb71fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうな | 作成日時:2017年7月1日 0時