君に未練など無いはずだった【佐野万次郎】

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集会を見ている途中、突然エマちゃんに言われた一言





びっくりしすぎて、何歩か後ずさりしてしまった。






我ながら分かりやすい反応だ…










『えーと…その…好き、かもしれない…』







私は正直に答えた。







此処でためらってしまったら、告白など到底無理な気がしてきたから。







「やっぱり！ふふん、ウチの勘は凄いよ〜」






リンゴのような顔色をしている私に対して、彼女は微笑みかける。







「マイキーの事近くで見てきたもんね。兄貴の件とか」








『それでもお世話になったし…』








「しかも暴走族の総長やってるしね、Aちゃんが惚れるだけあるかも 笑」








一々騒ぎ立てることも無かったので、少し安心した。









「Aちゃんの恋応援してもいい？」








『もちろん…！』








正直に話して良かった、何だかとても心強い。それに








『私もエマちゃんの恋応援したい！それで…好きな人とかって』








頼ってばかりじゃいけないし…。少しでも力になれたら。







「じゃあ…誰にも言わないでね」







『うん？』







「ウチ、ドラケンが好きなの…」







さっきの私のように恥ずかしがる彼女、やはりエマちゃんも乙女なんだ。






『応援するよ！それに、ケンチンさん優しいよね。






車に轢かれそうになった時、助けてくれたし＿＿＿あ！』






無意識に現代での出来事を喋ってしまった






「え、いつの間にそんなことがあったの？大丈夫だった？」







…こうなったら誤魔化すしかない。







『あったわけじゃないけど、そう言う夢を見た事があるんだ。現実でもケンチンさんならしてそうだなーって思って。』







分かりやすい嘘







これでタイムリープを疑われても仕方がない…なんて、嫌なことを考えるのはよそう








「…ウチ、間違ってなかったんだね。あんまり人とこういう話することないから、ちょっとずれてるのかと思って不安だったけど、良かった！」








エマちゃん、ケンチンさんと幸せになれるといいなぁ…








＿＿＿＿でも、病院にいたケンチンさんの暗い表情









どうしてエマちゃんがいるのに、あんなに悲しく重たい表情をしていたのだろう？












もしかして、彼女は現代には…いない？














私が救わないといけない人はかなり多いのかも












“ミッション”の重大さに、この夜気づいたのだった

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