第19話 ページ19
第19話
悟に返す言葉がなかったのは
…反論の余地がなかったから
もちろん悟が悪いなんて思ってない
悟の自業自得なんて、そんなことない
でも
悟が言っていたように
始まりはどうであれ
悟がもっとそばにいてくれたら…
何か違ったのかもしれない
…いや
私がそういった気持ちを、不安を、
もっと素直に伝えられていたら
それでよかったんだろう
それだけの話だったんだろう
お互いに向き合う勇気があれば
それだけでよかったのに
"それだけ"のことができなくて
私は、七海さんとの幸せを選んだ
それを悟が正解だと言うのなら
真実なんて
それ以上でもそれ以下でもないだろう
彼の残した合鍵を手に取ると
…まだほんの少し、悟の温もりが残っていた
A「…悟っ……」
今更名前を呼んでも仕方がない
悟の耳に届くことはもうない
次々に溢れ出た涙が
俯いた先の机に音を立てて落ちていく
涙の跡がひとつ、ふたつと増える度
悟への気持ちがこぼれていく
朝起きたらすぐに
おはようのキスを求めてきたり
行為を終えて
寝る前に必ずキスをしたがるのも
悟の愛情表現だったんだね
あんなに女の子から人気があったのに
ずっと彼女を作らなかったのは
私を想ってくれていたからだったのかな
指輪の裏の日付…
思い返してみれば、
この前悟がハンバーグを作ってくれたのと
同じ日だった
"1年目の記念日"をお祝いしようとして
ご飯を作ってくれたんだね
「Aの為に頑張ったんだよ」って
そういう意味だったんだね
…記念日だからと素直に言えなかったのも
悟らしいな
そんな悟が
私が七海さんの車から降りてくるのを見た時
どんな気持ちだったんだろう
それを私に隠して
何事もなかったかのように振る舞った時間は
どれほど辛かっただろう
"彼氏らしいことをしてあげられなかったから"
そう悟は言った
"彼氏らしいこと"をして欲しかったーー
そう言葉にしてしまうと
途端に幼稚な要望に思えるけれど
結局の所、その通りなのだろう
1日に1度くらい連絡が取れていたら
ほんのたまにでいいから、
デートができていたら
別に多くを望むわけじゃないけれど
明確な始まりの言葉がなくとも
…今とは何か、違う未来があったのかもしれない
あんな不安は抱いてなかったかもしれない
そこで、鳴り響いた着信音
画面を見ると
"七海"の文字を映していた
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葉月 - 五条さんの作品の中で一番好きです、、。最初五条の印象あまり良くなかったのに五条サイドになった瞬間切なすぎて素晴らしすぎました。思わず涙です。いろんな作品で色んな五条さんありますがこの物語の五条さんの性格好きすぎます。素敵な作品を有難う御座います！ (2022年4月11日 0時) (
レス) @page30 id: 8ba78d6b9a (このIDを非表示/違反報告)
とみこ(プロフ) - 紅葉さん» 最後まで読んでくださりありがとうございます（ ; ; ）コメントもとても嬉しいです（ ; ; ） (2021年6月15日 17時) (レス) id: 8851a66c99 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 最終話が七海さん目線なの泣いちゃう(´；Д；`) 完結おめでとうございます！ (2021年6月14日 22時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
とみこ(プロフ) - hachiさん» いつも読んでくださりありがとうございます！そしてご指摘頂きありがとうございます（ ; ; ）ずっと暇だと思っていた上、間違った意味で覚えていました…めちゃくちゃお恥ずかしい…泣 大変助かります！本当ありがとうございます(´；ω；`) (2021年6月14日 15時) (レス) id: 8851a66c99 (このIDを非表示/違反報告)
hachi(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいています！第27話なんですが「とりつく島もない」の入力ミスでは？また、謝罪や頼みを聞き入れず冷たくあしらわれることを言うので、誤用かと思います。指摘不要でしたらすみません(＞＜;)創作頑張ってください！ (2021年6月14日 11時) (レス) id: 96eaeb6d2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とみこ | 作成日時：2021年1月22日 0時
