曖昧な関係だと思っていたのは私だけでした【五条悟】【七海建人】

第18話 ページ18

第18話



五条「…最初にAとシた日。

する前に、僕はちゃんと告白した

好きです、付き合って下さいって…」



A「え…？」



五条「Aも、はい分かりましたって…
そう言ってくれたよ

…でもA、かなり酔ってたもんなぁ

覚えてないってのは全然あり得るかな」



そう言って
親指で眉間を掻く悟

少し困った時の、悟の癖だ



A「そんな筈…！だってその時のこと
鮮明に覚えてるもん…忘れるわけが…」



五条「…ごめん、でもこれは事実

だけど僕が悪いんだよ

Aがそれくらい酔ってる時じゃないと…
気持ち伝える勇気が出なかった、腰抜けだから」



A「そんな……」



五条「んー…。これ見たら信じてくれる？」


そう言って見せられたのは
…悟の右薬指にはめられていた指輪

とんとんと指輪の裏側を指差され
覗き込むと



私の名前と、とある日付が刻まれていた



五条「Aの名前と、付き合った…つもりの日を
刻んで貰った指輪を、右薬指につけてたわけ」



がくん、と全身の力が抜ける気がした


てっきり別の女性とのものだと思っていた指輪は
私との証だった

私はその事実を知らなかったどころか

…悟が刻んでくれていた記念日を、
覚えてもいなかった



大好きだと思っていた人を

蔑ろにしていたのは、

私の方じゃないか…



そんなこと今更知って
悲しくて、もうどうしようもない



五条「…でもAが不安だったのは
その始まりのせいだけじゃないでしょ

僕が…彼氏らしいこと、
ちゃんとしてあげられなかったから。

…だから僕の自業自得。悪いのは僕だよ」



A「……」



五条「…Aはさ。

あの金髪の男といたら
幸せになれると思って決断したんでしょ？

僕といるよりも、その方がいいって」



A「……それは、」



五条「なら、僕にとってもそれが正解だよ

Aが出した答えが
僕にとっても、Aにとっても

あの男にとっても、きっと正解

Aは短略的に答えを出すタイプじゃないから、
結構悩んだんじゃない？

それなら尚更」



A「…」



悟の言葉に私は俯いた



五条「僕はAの意思を尊重するよ

これは…返す」



そして机に置かれたのは

悟が勝手に作った合鍵だった



五条「じゃあ…そうだな…


…元気でな」



その言葉を残して悟はこの部屋を出て行った

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