勝利くんと。 (ページ9)

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オトウト 2 ページ9

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「あの…離してくださ、」

逃げなきゃ。

何故か本能的にそう思ったから。
握られた手首を押し返そうと体をよじる。と。

「んん……っ」

一瞬眩む視界。
瞬きをする暇もなく。
彼と合わさった唇。

あまりに突然だから、
抵抗することもできなくて。

「やめ…」

彼の元に戻ろうと必死に暴れる。のに。

『面白そうじゃん。ねえ……俺のオモチャになってよ』

言ったかと思えば、
腕を引かれて。

押し倒されたのはベッドの上。

「いや…『静かにして。彼氏に聞かれちゃうかもよ？』

必死に腕をばたつかせるのに、

私を組み敷いた彼はびくともしなくて。

「離して……っ」

助けを求めるために開いた口に、
彼のそれが重なって。

私の反応を伺うみたいに横目で見ながら、舌を差し込まれる。

流れ込んでくる熱い感触。

彼ともしたことがないそれに、頭が痺れて。

荒々しく掻き回される口内。

なのにつまらなそうなまま
私をじっと見つめる彼。

その真意がわからなくて力一杯彼を突き飛ばす。と。

『……兄貴には、こんなことされないでしょ？』

言いながらにやり、微笑んでみせるから。

「意味、わかんない……っ」

なんとかその手から逃れて、
廊下に飛び出す。

少し走って、そこから離れて。

なにかの部屋の前。
崩れるように座り込んで。

荒れた呼吸をなんとか
落ち着かせようと深く呼吸を息を吐く。

その唇に触れれば、
思い出すのはさっきの感触。

「本当、意味わかんない……」

言いながら膝を抱え込む。
混乱して、動揺する頭。

突然押し倒すなんて、意味がわからない。

突然キスするなんて、意味がわからない。

…なんでこんなにドキドキしてるのかも、
わからない。

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