花降る夜に《hirano.sho》

＿ ページ6

『やっぱり残業かぁ』


予想していたとは言え、やっぱり辛い。


帰りの電車に揺られながら、新着のメッセージを確認する。


昨日から続いている紫耀とのLINE。


何気ない雑談だったけれど、私にとっては幸せそのものだった。









解ってるんだよ









＿＿＿私は、紫耀が好き。









昔から…ずっと私の中にうずめくこの感情。




実は小学生の頃からだったけど…




告白する勇気なんて出ず。




振られて疎遠になるくらいなら、幼馴染みの座を守り抜きたかった。




“幼馴染み”だったら……


紫耀に彼女が出来るまでは、とりあえず紫耀の一番近くに居られる






それで充分だ、なんて思っていた…




自分が甘かった。




高校に入れば、紫耀は直ぐにジャニーズにスカウトされ、母子家庭の紫耀はお母さんを支えるためにも、ジャニーズに入ることを私に告げてきた。




私はその時は何も思わなかった。




幼馴染みが有名人になる。



どちらかというと、ワクワクした。



今のうちにサイン貰っとこ、なんてニコニコしながら言えたものだ。








＿＿＿＿＿＿









現実はそんなに甘くない。




紫耀は瞬く間に人気が出、人気グループking&princeのメンバーに摘出され、その人気は今も衰えていない。








そして









いつか帰ってくる、そう言ってこの町を去った紫耀は、高校生から24歳の現在まで一度も帰ってきていない。

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