理 ページ6
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『黒尾くん、ありがとう』
黒「え?」
彼女の声はいつもと違った。
真剣で、とても重みのあるものだった。
『…あのね、黒尾くんに聞いてほしいことがあるの。聞いてくれる?』
黒「……」
俺は肯定の代わりに無言でいた。
彼女はそれを察したようで、話し始めた。
『私ね、いっつも笑ってるでしょ?
何に対しても笑ってて、変なヤツだよね』
俺が思っていたことを言った。
自分でも思っていたのだろう。
『黒尾くんも何度も聞いてきたよね。
何で笑ってるのー、何が面白いのーって』
何度も聞いた。
でも、答えはいつも同じだった。
『私はその度に、なんか面白いんだよって答えてた。
でもね、ほんとは違うの』
俺は彼女の横顔を見る。
その横顔はなんだか、切なそうだった。
『私、好きな人がいるんだ』
俺は少し、動揺した。
けど、話しを聞く。
彼女をもっと知りたいから。
『笑ってたら、好きな人と一緒にいれるかな、って安易な考えで笑ってるの。
そうしたらね、好きな人と仲良くなれたんだ。
すごく嬉しくて嬉しくて。
こんな、ずっと笑ってて変なヤツなのに、一緒にいてくれるんだ』
彼女は続ける。
『その人は、夏祭りにも誘ってくれたの。
りんご飴を買ってくれたの。
そして、私の話しを聞いてくれるの。
そんな、優しくて、素敵な人なんだ』
彼女は、俺の方を見て笑った。
『ふふっ…黒尾くん、好きだよ』
俺は彼女を、引き寄せ、抱き締めた。
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baseball(プロフ) - ゆーちんるんさん» そうですね (2017年8月28日 16時) (レス) id: dd427be221 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちんるん(プロフ) - baseballさん» いえいえ。これからもお互いに頑張りましょう! (2017年8月28日 16時) (レス) id: a5529084fa (このIDを非表示/違反報告)
baseball(プロフ) - ゆーちんるんさん» ありがとうございます。作品を作る前に気づいておけば良かったのに、注意不足でしたほんとにすいませんでした (2017年8月28日 12時) (レス) id: dd427be221 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーちんるん(プロフ) - baseballさん» そうなんですか!私は全然気にしませんよ(*^^*) (2017年8月28日 8時) (レス) id: 68d9df43a6 (このIDを非表示/違反報告)
baseball(プロフ) - 大変申し訳ありません!題名が被ってしまいました。嫌でしたら変えるので返事よろしくお願いいたします (2017年8月28日 3時) (レス) id: dd427be221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:巫由美 | 作成日時:2017年6月25日 0時